かつては100軒の餅店が今や2軒 小樽の餅文化に黄色信号
また餅は、振り売りといって、店舗を構えず商品を手に売り歩くことができ、開業の初期投資が少なかったことから、たくさんの餅店が生まれたそうです。 その数を聞くと「古いお餅屋さんを経営している人たちの話を聞いても100軒近くあったんじゃないかと聞いています」とのこと。1950年代をピークに店の数は減りつつも、餅を食べる文化はマチに受け継がれてきました。しかし…「この秋に閉めた開福餅さんの話でも『俺の代ではやってるけど、もうしんどいから。この仕事は息子には継がせないよ』と言っています」と石川館長は説明します。 高齢化と後継者不在を背景にことしだけでも2軒が廃業し、1軒が休業。 マチの食文化に黄色信号が灯る中、「みなともち」と並んで奮闘しているのが菓子店「六美(ろくみ)」です。看板商品は、小樽にちなんだ「たるどら」。 六美の工藤社長は「どら焼きなんですけど、その中に栗と餅が入っています。小樽はお餅のマチなので、中にお餅が入っています」と特徴を教えてくれました。六美の創業は昭和6年。6つの味のすあまで人気を博した「お餅屋さん」でした。3代目の工藤社長が受け継ぐ現在は、まちの「お菓子屋さん」です。
「祖父が始めた時にはお餅から始めました。父の代に和菓子を加え、私の代に洋菓子を加えた。はじめ和洋折衷出したときは違和感があった人もいたようだが、今のコンビニのスイーツからわかるように、それは自分たちが(洋菓子和菓子と)分けてたんだなって作る側が。お客さんは分けてはいないのでいまは時代の流れにあったかなって思います」と話します。 店に並ぶ菓子は300種類まで増えました。創業時のルーツは守りつつ、時代のニーズにもアンテナをはる。「餅は餅屋ならぬケーキも餅屋」で、使命感も覗かせます。 石川館長は「観光に来た人もぜひお餅をお土産にしてほしい。市民もできるだけお餅を食べる機会を。食べる機会があればこの2店舗を、もし再開したら雷除志ん子にも足を延ばしてほしいなと思います」と餅文化の維持に期待します。 小樽で長く愛されつづける「おもち」。この先も、粘り強く、マチの食文化が続きますように!