2025年“米国株バブル崩壊”は起きるのか 「心配ない」と外国株のプロが断言する根拠は
20年間、S&P500を「毎月1万円」投資していたら、いくらになったか
投資に「たら・れば」はありませんが、実際にS&P500に投資したら、どのくらい資産を増やすことができたのか見てみましょう。 2003年12月末から2024年9月末までの約20年間、S&P500毎月末1万円ずつ積立投資した場合、果たして値上がり益を含めた総額はいくらになるでしょうか。 ちなみに、この数字はすべて円建てです。つまり為替差損益もすべて加味したうえでの総額です。まず、投資元本がいくらになるのかを計算してみましょう。 20年10カ月間ですから、250カ月です。そして1カ月に1万円ずつの積立投資ですから、投資した元本は合計250万円になります。その値上がり益も含めた総額は、実に1488万円となります。 ちなみに2003年12月末のドル円は1ドル=107円76銭だったので、今の水準からすればかなり円高だったことがわかります。また、現在に至るまで、1ドル=70円台の円高局面もあり、どうしても円建てで見た時のS&P500のパフォーマンスは低下せざるを得ませんでした。ここに来て一時は1ドル=160円に達する局面もあり、円建てのパフォーマンスをさらに押し上げる形になっています。 毎月1万円をコツコツ20年間積み立てるだけで、投資元本を大きく上回る1488万円もの資産を築くことができたのです。しかも個別銘柄投資につきものの、面倒な銘柄分析を一切することなく、単純にS&P500を買い続けただけです。
月3万円の積み立てで「老後2000万円問題」は“余裕でクリア”だった事実
このシミュレーションの起点である2003年当時は、まだS&P500に投資できるツールは、日本国内ではそんなにありませんでした。しかし今やインデックス型の投資信託やETFで、S&P500への連動を目標にしたポートフォリオで運用されている商品はたくさんあります。しかも、たとえばマネックス証券では毎月、または毎日最低100円からの資金でも購入できるので、誰でも簡単に資産形成ができるようになりました。 ちなみに、もう少し資産を増やしたいと考えている人は、毎月の積立金額を1万円ではなく、もう少し上乗せすれば良いだけです。同じくS&P500を毎月3万円ずつ買い続けていけば、20年10カ月間の投資元本は750万円ですが、値上がり益も含めた総資産の額は4465万円にまで膨れ上がります。 少し前に「老後2000万円問題」が話題になりました。このようにS&P500の積立投資を続けられれば、老後2000万円問題を心配する必要はいっさいないといってもいいでしょう。 たびたび名前を借り、言葉を引用させてもらっているウォーレン・バフェット氏は、2019年に行われたCNNのインタビューで「もし自分が死んだ時には、妻に残された財産の90%をS&P500に投資するよう」に、財産管理人に指示したと答えています。 *** この記事の前編では、同じく『本当に資産を増やす米国株投資』(ビジネス社)より、岡元氏も親交があり、“女性版ウォーレン・バフェット”とも称されるキャシー・ウッド氏の注目する「4つの破壊的イノベーション」について取り上げている。
【著者の紹介】 岡元兵八郎(おかもと・へいはちろう) マネックス証券の専門役員。専門である外国株のチーフ・外国株コンサルタントのほか、マネックス・ユニバーシティ投資教育機関のシニアフェローも務める。元Citigroup/米ソロモンブラザーズ証券のマネージング・ディレクター。外国株に30年以上携わるプロフェッショナルで、関わった海外の株式市場は世界54カ国を数える。海外訪問国は80カ国を超える。米国株はもちろんのこと、新興国の株式事情にも精通している。ニックネームは「ハッチ」。Xアカウント名 @heihachiro888 デイリー新潮編集部
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