スペイン国王から「文民功労勲章」 長崎県美術館が国内初
スペイン美術の調査・研究や作品収集に取り組む県美術館(長崎市出島町)が、同国と日本の芸術分野での文化的つながりを促進したとして、スペイン国王から「文民功労勲章」を贈られた。国内の美術館の受章は初めて。 【写真】フィデル・センダゴルタ駐日スペイン大使(右)から名誉の楯を受け取る小坂智子館長 県美術館は、第2次世界大戦中に特命全権公使としてスペインに赴任した須磨弥吉郎(1892~1970)が集めた「須磨コレクション」を中心に千点以上のスペイン美術作品を収蔵している。2004年にスペイン国立プラド美術館と協力関係を結び、同国の芸術作品に関する研究や職員派遣などの交流を継続。05年の開館後、関連企画展を18回開催してきた。 20日に県美術館であった式典には、フィデル・センダゴルタ駐日スペイン大使ら約30人が出席した。センダゴルタ大使は受賞理由を「展覧会などを通して両国間の絆を強化し、日本社会におけるスペイン文化への関心や評価の促進に貢献した」と説明。「名誉の楯」を受け取った小坂智子館長は「これからもスペインと日本、そして長崎のより深い関係構築の一端を担えるよう努力する」と述べた。 県美術館が開館20年を迎える来年は、長崎にとって被爆80年の年でもある。この日の式典では来夏、戦争をテーマにした企画展を同館で開催することも発表された。プラド美術館が所蔵するゴヤの油彩画「死した七面鳥」などを展示予定。芸術家が描いた戦争の表現を通して、戦火の絶えない現代に争いの本質を問いかける。 (竹添そら)