1年間で100万トンの魚が廃棄 食べられるのに捨てられる魚「未利用魚」の実態
食育日本料理家の梛木春幸さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。捨てられてしまう魚「未利用魚」の実態や、これを生かした取り組みについて語った。
梛木さんは食育の講演活動、商品開発、地域活性化事業、仕出し、料理プロデュースなどを行い、日本各地の自治体、企業、小中高等学校等で年間200以上の講演活動をしているほか、フランス、韓国、シンガポールなど海外でも各種のイベントを開催。未利用魚を地元・桜島の火山灰を利用して干物にした「桜島灰干し弁当」もプロデュースし、販売を開始した当初から売り上げ1位を記録して大人気だ。
食べられるのに捨てられる魚「未利用魚」
上柳:梛木さんの著書『捨てられる魚たち ―「未利用魚」から生まれた奇跡の灰干し弁当ものがたり―』(講談社)を読んで、利用しない魚“未利用魚”という言葉を私は初めて知りまして。本を開きますと、主な未利用魚の一覧がイラスト入りで書いてありますね。「ミノカサゴ」「アカエイ」「ツバメウオ」「ウツボ」などなど。 例えば、「ミノカサゴ」は釣りへ行くと「毒があるからダメだ~。食べられないな」ってなりますよね。 梛木さん:そうですね、毒を持っていますからね。ですが、毒をきれいに取って食べるとおいしいです。 上柳:「アカエイ」は水族館でよく見かけますが……。 梛木さん:アカエイもおいしいんですよ。 上柳:「ツバメウオ」は熱帯魚で、どうしても観賞用だと思ってしまいますよね。 梛木さん:そうですよね、でも白身魚でおいしいんですよ。 上柳:「ウツボ」も食べられるそうですね。 梛木さん:ウツボは和歌山県とか、実際に食べられている地域がありますね。 上柳:こういった魚を漁師さんが釣ってしまうと、捨てているそうですが、その捨てる量がものすごいらしいですね。 梛木さん:はい、もの凄いです。もちろん港によって違いますけど、大体5割~6割は、消費者のみなさんが名前を知らない魚なんです。そうすると、名前を知らないから売れない、売れないから根が下がる。箱代や氷代で赤字になってしまうから、捨てられてしまうんです。 上柳:現状、3割は廃棄されているということで。2022年の日本で、養殖を除く漁獲量、つまり漁師さんが取ったお魚ですが、およそ300万トンで、3割が捨てられているということは、100万トンの魚は捨てられているということですね。だけど実はこの捨てられている魚はちゃんと調理をすれば食べられますよ、ということを本の中で書かれていましたね。 漁師さんが魚を一生懸命取ってくださるんですが、食卓に上がることなく、魚屋さんに行くこともなく、また豊洲市場に行くこともなく、その場で捨てられていると。いろんな理由があると思うんですが、梛木さんはどのようにお考えですか? 梛木さん:まずは、見た目の悪さですよね。 上柳:深海魚系とか、目玉がやたらと大きいとかですかね。例えば「オオメハタ」は目玉がバーンと出ていて流通しにくいそうですが、食べるとアカムツ(ノドグロ)と似ていておいしいそうですね。 梛木さん:見た目のほかにも、ヒレに毒を持っているとか。身に毒はないんですけどね。