牛のげっぷなど抑制の独自飼料 温室効果ガス削減へ味の素と仏ダノンが協業
味の素とDanone(本社・仏、以下ダノン)は、酪農における温室効果ガス(GHG)削減に向け協業を開始した。 ダノンは今後、味の素のアミノ酸改善飼料「AjiPro-L」の活用を進める。すでにスペイン・ブラジル・米国にあるダノン契約農家や、エジプト・モロッコにあるダノン自社農家での導入に向けた取り組みを進めている。 「AjiPro―L」は独自の製造技術で、通常は牛の小腸まで届きにくい必須アミノ酸のリジンを効果的に届けることができる。この結果、高タンパクだが高単価で、余分なアミノ酸も多く含む大豆粕などの飼料を減らしつつ、不足するアミノ酸を補い、飼料中のアミノ酸バランスを整えることが可能となる。 見込まれる効果として、年間牛1頭当たり、大豆粕などたんぱく源となる飼料栽培・調達で発生する二酸化炭素を約2割、糞尿から発生する余剰な窒素由来の一酸化窒素を約2.5割削減できる見込み。 また、「AjiPro-L」でアミノ酸バランスを整えた飼料と、牛のげっぷ中のメタンを削減するメタン削減製剤を組み合わせた際に、削減効果が3割ほど上昇したという。 牛のげっぷや糞尿に由来するGHGは全世界のGHG排出量の約9.5%を占めるとされ、地球温暖化に大きな影響を与えている。昨今の飼料価格高騰など厳しい酪農家経営が続くなか、「GHG排出量の削減を推進しつつ、飼料コストを軽減させるソリューションが必要」(両社)との考えから協業に至った。協業に向けグローバル戦略パートナーシップに関する覚書(MoU)を締結した。