30歳を超えて掴んだ夢。ハ・ヨンスが体現する自分に正直な生き方。【私のパリシック。vol.2 ハ・ヨンス】
自分らしく人生を謳歌するパリジェンヌの生き方には、いまの私たちが力強く生きるためのヒントが詰まっている。そんなパリジェンヌのスタイルに共鳴する現代のアイコンにフォーカス。vol.2は、NHK連続テレビ小説「虎に翼」での好演が話題のハ・ヨンスが登場。 【写真&インタビュー】ヘルシーな肌みせで語るハ・ヨンスの潔い人生哲学。 ──ハ・ヨンスさんといえば、NHK連続テレビ小説「虎に翼」での好演が話題です。30歳を超えてから日本に活動の場を移しましたが、新しい場所で挑戦しようと思ったきっかけを教えてください。 20代の頃から日本で活動することに興味がありました。子供の頃から絵を描いていたのですが、日本のアニメーションや映画、ドラマが好きで、日本の作品に出演してみたいと思っていたんです。韓国の芸能界で活動を始めたのが20歳頃だったのですが、その時は韓国でのキャリアもまだ始まったばかりだったので諦めるしかありませんでした。10年ほどキャリアを積んで30歳を迎えた時に、いま決断しなければこの夢は掴めないかもしれないと思い、勇気を出して活動を日本に移すことにしました。 ただ、大きな壁となったのは語学。旅行では30回以上日本に訪れていたのですが、全然喋ることができなくて......。だからまずは、独学で日本語を勉強してみて、伸びなかったら諦めようと勉強をスタートしました。大切にしていたのはシャードーイング。日本の友達にしょっちゅう電話をかけて練習して、半年くらい経った頃に少し手応えを感じられようになったので、そのタイミングで日本に行くことを決めました。いまの事務所も自分で調べて、オーディションを受けたんです。来日したばかりの時は、仕事がなかったらどうしようとか、大きな病気になったらどうしようとか、怖さや不安しかありませんでしたが、いま、こうやってお仕事ができて嬉しいです。
正直なことは自分を幸せにするいちばんの近道。
──日本のドラマの撮影現場で、新しく手に入れた価値観や学びはありましたか。 日本に来て約2年が経ちましたが、「虎に翼」の撮影が始まってから「あ、私って本当に演技が好きなんだ」ということを感じています。韓国で活動している当時はそんな気持ちはなかったのですが、演技することをどこかで仕事の一部と考えていたのだと思います。「虎に翼」は、海外で初めて手に入れたドラマの仕事で、自分にとっては考えるだけでキュンとする気持ちになる大切なもの。たくさん努力をしてチャンスを待ち、ついに出合えた作品で「演じることが幸せ」と思えることが嬉しくて、いまの一瞬一瞬を大切にしようと、さらに思うようになりました。 ──逆に、日本での活動で困難や苦しさを感じることはありますか。そんな時はどんな風に乗り越えますか。 私の日本語で演技がうまく見えなかったらどうしようと心配や不安に思うこともあります。けれど、自分が選んだ道ですし、いまでなければできないことだと考えて集中するようにしています。やらなくて後悔するよりは、やってみて「ちょっと大変だったけどやってよかった」と思えることが、本当に大切だと思っています。 ──人生を謳歌し、自分らしく生きるパリジェンヌ。パリジェンヌと聞いて、ハ・ヨンスさんはどのような姿を想像しますか。 数年前パリを旅した時、夕方にお花を少しだけ買う人々の姿を見かけました。その人々が買うお花は、夕食の時間に自宅のテーブルに飾るためのものだったと思います。集中して仕事を終わらせて、夕方からは自分のための自由な時間を過ごしたり、好きなことを思うままにしてみたり......、パリジェンヌは自分に正直である人たち。その代表として思い描くのは、ジェーン・バーキンですね。正直でいることは、自分を幸せにするためのいちばんの近道のような気がします。