【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】王者・フェルスタッペンに綻びが見えた
連載【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】RACE11 F1はスペイン、オーストリア、イギリスの3連戦の真っ只中にあるが、第10戦のスペインは接戦のレース展開になったものの、最終的にはレッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝。王者の強さをあらためて見せつけたが、続くオーストリアではフェルスタッペンとマクラーレンのランド・ノリスが激しい優勝争いを繰り広げ、両者は接触。メルセデスのジョージ・ラッセルが今季初勝利を挙げた。 【写真】オーストリアGPで優勝争いを演じたフェルスタッペン(手前)とノリス 3連戦を締めくくるイギリスGPは、マクラーレンのノリスや、復調してきたメルセデスのラッセルとルイス・ハミルトンの地元。注目のイギリス勢は母国GPで王者フェルスタッペンを相手にどんなバトルを見せてくれるのか!? * * * ■久々に荒々しいフェルスタッペンの走りを見た 第11戦のオーストリアGPはレース終盤、トップ争いをするフェルスタッペン選手とノリス選手が接触するという、衝撃的な結末となりました。レースの舞台となったレッドブルリンクでは、土曜日のスプリントレースや予選でフェルスタッペン選手が異次元の速さを披露し、おそらくライバルたちは「フェルスタッペンを倒すのは難しい......」と絶望したと思います。 決勝でもフェルスタッペン選手がスタート直後から圧倒的な速さを見せてトップを独走していたのですが、2回目のピットストップの際にタイヤ交換で大きくタイムロスし、背後からマクラーレンのノリス選手に攻めたてられる展開になりました。 大きなプレッシャーにさらされると、3連覇中のフェルスタッペン選手とはいえ、綻びが出てきます。2021年シーズン、自身初のタイトルを目指していたフェルスタッペン選手は、当時圧倒的な強さを誇ったメルセデスのルイス・ハミルトンを相手に毎戦のように激しいバトルを繰り広げていましたが、その頃には焦ってミスをしたり、攻撃的すぎるドライビングでクラッシュしたりすることもありました。 でも初タイトルを獲得した後、レッドブルのマシンの競争力がライバルを圧倒していたこともあり、余裕を持って戦えることが多かったのですが、久しぶりにフェルスタッペン選手の荒々しい走りを見ましたね。ただフェルスタッペン選手はあそこまで激しいドライビングで首位の座を守る必要はなかったのに......と感じました。 バトルの最中にノリス選手は、トラックリミット(コース外走行)違反で5秒のタイムペナルティが科される可能性がありました。実際に両者が接触した直後にノリス選手に対して5秒のタイムペナルティの裁定が下されます。フェルスタッペン選手は2位になってもノリス選手の後ろについていれば勝てたんです。やっぱりノリスに迫られてレッドブル陣営も冷静さを欠いてしまったのかもしれません。