日本の伝統 「刺し子」 のものづくりを ファッションカルチャーの中心へ、 TERASの就労支援とブランド作り
伝統の刺し子とものづくりのこだわりをブランドにして原宿で価値を広げるTERASの想い
原宿の神宮前交差点に2024年4月17日に開業した東急プラザ「ハラカド」。原宿の中心地にできたその場所に集まる様々な方に、FMラジオ局 J-WAVEでナビゲーターを務める藤田琢己がインタビューするFINDERSの連載企画「ハラカドノカドデ」。 第7回目に登場いただくのは、日本の伝統手芸「刺し子」を施したブランドで、生活雑貨からアパレルまで幅広く展開するTERASの山中さんが登場。 インタビューの様子は、PODCAST 番組でも公開されているので、合わせて楽しんでいただきたい。 -- 今回はこの方にインタビューです。TERAS山中さんです。 よろしくお願いします。 -- 自己紹介をお願いできますか。 はい。TERASの山中と申します。年齢が42歳。出身は栃木県です。 -- ハラカドに出店した経緯を教えてください。 僕たちは栃木県の宇都宮に障害者の就労支援事業所があって、「刺し子」のもの作りと販売を行っているんですけど、栃木県だけでなく、今までも東京に来てポップアップショップなどを展開しに都心に来ることが多かったんです。 僕らの事業的にもやっぱり支援する施設でありながら、事業をしっかりと経済的に回していかないと存続が難しいという現状があるので、その一つのアクションとして何か店舗を持ちたいっていうところがありまして、昨年うちの代表がこのハラカドの施設ができるという情報をキャッチして、僕たちの方から東急さんにアプローチをさせていただいて話が進みました。 -- 就労支援というのは全国でいろいろな取り組みがある中で、(お店を見てみると)TERASさんはこの原宿にアパレルブランドのように出店している感覚があるのですが、TERASの狙いはどのようなものだったのですか? 就労支援事業所というのは事業所ごとにいろいろな事業を行っているんですけど、僕たちができる支援の形が 「もの作り」 だったんですね。うちの代表はキャンドルアーティストをやっていたり、僕は音楽的な部分のクリエイティブにいたりとか、縫製スタッフは自分でレザーブランドやっていたりとか、クリエイティブなスタッフが多かったので、そういったところを生かした支援ということで、もの作りをやっていこうということになり、その中で日本の伝統工芸である刺し子、これを用いてもの作りをしていこうということになりました。 刺し子は東北が有名なんですけど、栃木も結構農村地域だったので、古布、刺し子も馴染み(の文化)があり、そういったなじみがあるところで障害を持った人と社会との接点を作っていこうという取り組みをしています。 -- 品物を触ったときのこの質感の温かみ、そして色味、デザインの良さ、強さというか、そういったものもすごく感じるんですけど、プロダクトを作る上で考えていたことってどんなことがありましたか。 そうですね、やっぱり刺し子って日本の伝統工芸の一部でもあるので、すごく大切にしています。ちゃんとリスペクトを持って先人たちが行ってきた刺し子を深掘りしながら、一方で事業所におけるもの作りは競争が得意ではないので、生産性であったり価格であったり、そういったところを考えてTERASの刺し子は何(が違う)かってことをやっぱり常に追求しています。 日本の伝統であったり民芸の部分であったりを大切にしながら、東南アジアのタイやラオス、インドなどの刺し子も参考にした上で、自分たちのオリジナル刺し子の表現を日々探求しています。 -- 例えばデザインだったりは、伝統を重んじる中でも、Tシャツ1枚だとしても、アートっぽい写真がベースになっているものであったりとか、非常にモダンな感じもするんですけれどもいかがですか。 そこは結構やっぱり意識しています。伝統的な表現もすごく好きではあるのですけど、時代とともに変化もあると思っています。より多くの人にこの手に取ってもらいたいっていうところで考えると、やっぱり今の時代にある表現っていうのもすごく大切だなと思っていますね。