ブラジル人歴史学者ラウラ・ヂ・メロ・イ・ソウザ教授が国際歴史賞を受賞
南北アメリカ出身者として初の受賞
10月25日(金)、ブラジルの歴史学者ラウラ・ヂ・メロ・イ・ソウザ教授が国際歴史学委員会(CISH/ICHS)より国際歴史賞が贈られ、駐日ブラジル大使館にて授与式典が行われた。 サンパウロ出身のラウラ・ヂ・メロ・イ・ソウザ教授は、1975年にサンパウロ大学で歴史学の学位を取得、同大学にて、1980年に社会史の修士号、1986年に社会史の博士号、1993年に現代史の博士号を取得。 1983年から2014年8月まで、サンパウロ大学哲学・文学・人間科学部歴史学科の教授を務めた。2014年9月以降は、パリ第4大学(現ソルボンヌ大学)でブラジル史の教授を務めている。 海外ではテキサス大学、ノヴァ・ヂ・リズボア大学、ICS/リズボア大学、ミネソタ大学、サウサンプトン大学、トロント大学、セビリア大学、メキシコ国立大学などで客員教授を務めている。 サンパウロ州研究財団(FARESP)の人類科学委員会(1994-2001)、ブラジル高等教育支援・評価機構(CAPES)の歴史委員会(1999-2001)、国立科学技術発展評議会(CNPq)の歴史委員会(2011-2013)でも委員を務めている。現在、ブラジル科学アカデミーの会員。 教授はこれまでに、18世紀のミナスジェライス州の歴史、16~18世紀にかけてのポルトガル帝国の文化、社会、政治、16世紀~19世紀にかけてのヨーロッパと新世界との関係、20世紀のブラジルの歴史学などを専門に研究、発表してきた。 著書に「悪魔とサンタクルスの国:植民地ブラジルにおける魔術と民衆宗教」(1986)、「大西洋の地獄: 悪魔学と植民地化 (16 ~ 18 世紀)」(1993)、「規律と争議:18 世紀のミナスの歴史の側面」(1999)、「太陽(王室)と影(植民地): 18世紀ポルトガル領アメリカの政治と行政」(2006)など。ナポレオン・ボナパルトの勢力拡大期におけるヨーロッパの3つの王室の移住に関する研究にも取り組んでいる。 式典では、オターヴィオ・コルテス駐日ブラジル大使閣下による祝辞に続き、国際歴史学委員会(CISH/ICHS)事務総長を務めるイタリアの歴史学者エドアルドトルタローロ教授による挨拶、同委員会のカトリーヌ・オレル代表によるラウラ教授の経歴紹介が行われた。 ラウラ・ヂ・メロ・イ・ソウザ教授は受賞スピーチで、これまで取り組んできた研究の概要を紹介した。特にラウラ教授が目を向けた、植民地と海洋帝国を築いたヨーロッパ諸国との間にあった関係、その間で交錯した文化や宗教、植民地時代の奴隷制度の経済構造の中に存在した奴隷労働と、貧困な自由労働民との複雑な関係についての考察を述べた。 スピーチののちラウラ教授に、エドアルドトルタローロ事務総長から国際歴史賞のメダルが贈られた。 国際歴史賞は同委員会により2014年に創設された賞で、ラウラ教授は同賞を受賞した初の女性であり、南北アメリカ出身者となった。 (文/麻生雅人)