前職の情報“不正”に持ち出し 逮捕者も…警察への「営業秘密侵害」相談最多 その背景は? 企業はどうすればいい? 専門家が解説
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)4月17日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「『営業秘密』の持ち出しに関する相談が最多 その背景と必要な対策は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
2023年に全国の警察が受理した「営業秘密侵害」に関する相談(=企業情報の持ち出しなど)は、前年比19件増の78件となり、統計を取り始めた2013年以降で最も多かったことが警察庁のまとめで分かりました。
◆「営業秘密」とは?
塚越:営業秘密とは「不正競争防止法」で、次の3点を満たすものと定義されています。1つ目は、秘密として管理している情報。2つ目が、事業などに有用な情報。3つ目が、公に知られていない情報。この3つを満たしたものが営業秘密です。これを不正な手段で取得して使用したり、第三者に開示したりすると、不正競争防止法では個人に対して10年以下の懲役、または2,000万円以下の罰金が科されることになります。
◆前職の情報を不正に持ち出し…逮捕者も
吉田:「営業秘密」の侵害では、例えばどのようなケースが報告されているのですか? 塚越:勤務先の病院から患者の個人情報およそ180人分を持ち出したとして、2023年8月に長野県警が医療技師の男を不正競争防止法違反で逮捕しています。 他にも、大手総合商社「双日」の元社員の男が以前に勤務していた競合他社の商社である「兼松」の営業秘密を不正に持ち出したとして、2023年9月に逮捕されています。前の会社の同僚をだましてアカウントを取得し、情報を持ち出したということです。 ユージ:「営業秘密」の侵害に関する相談は、どのぐらい増えていますか? 塚越:営業秘密の侵害に関する相談は前年比19件増えて78件となっており、統計をとりはじめた2013年以降で最多となっています。また営業秘密侵害での摘発は去年が26件で、最多だった2022年に次いで2番目に多かったということです。基本的に摘発件数は増加傾向にあるので、今後も増えるかと思われます。