「差別がなくなれば」白杖を手にスタート台へ オリ・パラ〝二刀流〟を目指す視覚障害スイマー、日本選手権で伝えたかった思い
「乗り越えた壁は自分の味方に」
印象的なシーンが昨春の日本選手権。目標とした昨夏の世界選手権福岡大会の代表選考会でもある。その大一番に白杖(はくじょう)を手にスタート台まで歩いた。「健常者の試合に障害者が出る前例はなかったけど、自分の行動で社会での(障害者への)差別がなくなれば、悩んでつまずいている人に何かのきっかけになればと思い、この(白杖を持った)姿を見せた」との強い思いがあった。 今夏のパリ五輪出場はかなわなかったが、現在は神奈川県内のスイミングクラブを拠点に練習に取り組む。講演の最後、生徒たちに「好きなことを全力でやって、ありのままの自分でいてほしい。乗り越えた壁は自分の味方になる」と呼びかけた。 (河野潤一郎)
西日本新聞社