<サッカー日本代表>オランダ戦 ザックジャパンの浮上のカギは?
■少ないチャンスをものする ザックJの原点回帰 それでも同じメンバーを起用してきたから新陳代謝が損なわれ、チームは下降の一途をたどる。そんな状態にもかかわらず、先の東欧遠征では、ボール支配率を高めながら中央から崩すといった「新しいトライ」(本田圭佑)をしたものだから、結果が伴わないばかりか、最大の武器だった左サイドからの崩しも見られなくなり、ピッチ内の意思疎通もスムーズだったとは言えなかった。だが、今回のオランダ戦とベルギー戦では、東欧遠征とは異なり、日本が押し込まれる時間が長くなりそうだ。 攻撃において相手より主導権を握れる時間が短くなるだろう。「新しいトライ」をするような余裕はなく、いかに凌いで数少ないチャンスをモノにできるかがポイントになる。日本としては、自陣に引いて守ったり、DFの人数を増やしたりして守備的に戦うことは自分たちのスタイルではない。となれば、いかに高い位置やサイドでボールを奪えるかが重要になる。これこそザックスタイルの原点というわけだ。 ■ザックの代名詞「3-4-3システム」を徹底的に確認 「最初の2日間は特に集中的にやっていた」と遠藤保仁が言うように、今合宿では指揮官の代名詞と言われる3-4-3システムのトレーニングに多くの時間を費やされている。 実際にこのシステムでオランダ戦に臨むかどうかは分からない。だが、3-4-3はボールサイドにスライドしてタッチライン際に追い込む、サイドで数的優位を築いてボールを奪い取るといったザックスタイルの「いろは」を学ぶのに最適で、今一度、基本的な約束事を徹底するという意味合いもあったのではないか。 ■ザックジャパン浮上のカギ うがった見方をすれば、東欧遠征で選手たちが話し合いによって「新しいトライ」をしたことに対し、「私のスタイルで戦うんだ」というザッケローニ監督の意思表示なのかもしれない。いずれにせよ、アリエン・ロッベンとイェレマイン・レンスによるオランダの強烈なサイド攻撃をザックジャパンがどのように封じ、そして攻撃に転じられるかが最大の見どころなのは確かだろう。遠藤は言う。 「相手がウイングとサイドバックの2枚で来たら、こっちもサイドハーフとサイドバックの2枚で守るのが一番いい。相手のウイングは中にも縦にも行けるので、縦に行けば外に追い込めばいいし、中に来たらボランチがカバーに入るのが基本だと思う。相手はピッチを幅広く使うチーム。その分、選手間の距離が離れるはずだから、前線から上手くハメられればチャンスが増える。高い位置でひとつでも多くボールが取れるようにしたい」 オランダ戦は原点回帰の一戦であれ――。そこにザックジャパン浮上のカギがある。 (文責・飯尾篤史/サッカーライター)