「プロへの夢」破れた野球部大学生、それぞれの決断
3月25日に開幕したプロ野球。今季入団したルーキーたちも1軍、2軍、それぞれの場所で第一歩を踏み出しました。新しい世界でスタートを切るのはプロ選手だけではありません。社会人野球に進む選手たちも、すでにチームに合流し練習を始めています。大学時代、野球に打ち込んできた選手たちは、どのように自分の進路を決定し、どんな目標を持っているのでしょうか。プロ入りした高山俊外野手、坂本誠志郎捕手(ともに阪神タイガース)、上原健太投手(北海道日本ハムファイターズ)らとともに白球を追いかけた、明治大学野球部の卒業生3人に思いを聞きました。 【写真】仕事の探し方も福利厚生も分からず……プロ野球選手「再就職」の苦労
地元企業から内定も野球を捨てられず
一般入試で入学し、スタメンを勝ち取った青野悟さん。4月から社会人野球の強豪JX-ENEOSでプレーすることが決まっています。青野さんは一般企業への就職も考え、就職活動をしました。出身地の広島の企業から内定も得ましたが、それでも野球への思いは捨てられませんでした。 「大学時代は野球に熱中しました。社会人になり、自分は何が一番熱くなれる考えた時、やはり野球でした」 青野さんは、社会人で野球をやるならJX-ENEOSと決めていました。 「都市対抗野球を見に行ったとき、選手が全力でプレーする姿に感動しました。伝統のあるチームですし、OBの方もたくさんいます。そのJX-ENEOSが声をかけてくれたので、野球を続けることを選択しました」。 子どもの頃からの夢でもある「プロの世界で野球がしたい」という思いは、今でもあるといいます。 「実力を考えるとほど遠いですが、やはりプロに行ってみたいです。社会人で頑張り、プロでやっていける自信をつけるのが今後の目標です」 青野さんは、最後に控えめに、でもはっきりと話してくれました。「やっぱり、地元のカープが憧れです」。
プロ入りの同期を見て「こうなりたい」
「プロにはずっと行きたかったです。夢であり、目標でした」。そう話すのは、4月から新日鐵住金鹿島でプレーする西村竜治さんです。 西村さんは大学時代に、自分の力を知ったと明かします。 「チームメートの高山や坂本(阪神)、上原(日本ハム)を見て『こういうやつがプロに行くんだな』と思いました。自分はプロとか言っているレベルではない。大学に入って、現実を知りました」 西村さんは社会人でプレーすることを望んでいました。しかしどのチームからも声がかからず、野球は諦めるつもりでした。 「8月までに声がかからなかったので、一般就職をしたいと(明治大学野球部の)善波監督に話しました。大学1年の冬にピッチャーから野手に転向したのですが『まだ身体ができていないし、野手を始めて期間も浅い。身体が出来て、野手としての考え方がわかるまでは、ちゃんと野球やらせたい』監督がそう言ってくれました。諦めてはいたけれど、やはり野球がやりたかったので、監督の言葉で就職浪人をしても野球を続けようと決めました」 11月、新日鐵住金鹿島への入社が決まった西村さん。既に練習に参加していますが、これまでと野球への取り組み方が変わったといいます。 「自分は拾ってもらった身です。だから必死で練習しています。就職活動して、就職浪人も考えた。そんな経験をしたから、野球に対する考え方も変わりました。就職活動で青野と一緒になることが多かったのですが『野球は楽しいなぁ』ってよく2人で話しました」 西村さんは、今後もプロを目指して頑張りたいと力を込めました。 「チームメートがドラフトで指名された瞬間を間近で見たら『こんなふうになりたい』と思いました。社会人でしっかり成績を残して、自信をつけていきたいと思っています」