東海の酒造り 新たな挑戦 盛田 酒造文化発信に注力 小鈴谷工場に「味の館」
盛田(本社名古屋市中区栄1の7の34、檜垣周作社長)は1665年に常滑市小鈴谷で創業。代表的な日本酒銘柄「ねのひ」は、2024年度の名古屋国税局酒類鑑評会(吟醸酒部門)で優等賞を受賞した。小鈴谷工場(常滑市)の「盛田味の館」で酒造りを紹介し、蔵開きを行うなど、酒造文化の発信にも力を入れている。 (半田) 小鈴谷は伊勢湾に面し、毎年冬には伊吹おろしと呼ばれる寒風が新鮮な空気を酒蔵にもたらす。酒造りに適した地域といわれている。 盛田の酒造りは、手間を惜しまない。最高級の大吟醸では、副杜氏(とうじ)が高温多湿な室内で、種こうじを付けた蒸し米を手でかき混ぜ、もみほぐして木箱に盛る。この際、こうじの変化を見ながら手で微妙に温度調整していく。こうじの出来具合で酒の味が左右されるからだ。後工程の仕込みでは、安定的に発酵を促すため、こうじ、蒸し米、水を櫂棒(かいぼう)で丁寧にかき回す。 「盛田味の館」は、小鈴谷工場のみそ蔵を改装して1990年にオープンした。館内では日本酒の製造工程を紹介するほか、酒蔵の生原酒を量り売りする。
毎年2月ごろに、同工場で「ねのひ蔵開き」を開催している。鏡開きで搾りたての日本酒を振る舞うほか、日本酒飲み比べ有料試飲などを行う。清酒酵母で仕込んだ赤ワイン、オークたるで醸造したウイスキーなど当日限定品も販売し、多くの人でにぎわう。 「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことを受け、杉浦健朗工場長は「酒造りの技術に関心をもってもらい、若い世代に継承していきたい」としている。