〈米退役軍人層の「トランプ離れ」〉1860万もの組織票を失うか?その背景と大統領選への微妙な影響
将官たちが続々と「トランプ不支持」を表明
世論調査結果のみならず、最近、軍関係者しかも、かつて歴代共和党政権を支えた制服組のトップクラスの将官たちの間での「トランプ離れ」が加速しつつある。 去る9日、米軍高級将校たちの全米組織「National Security Leaders in America」は、陸空海将軍10人による「公開状(open letter)」を掲載。この中で、トランプ候補について「わが国家安全保障およびデモクラシーにとっての脅威」とする一方、「ハリス氏のみが最高司令官となるのにふさわしい人物」だとして、ハリス候補への投票を呼び掛けた。 10人の中には、ジョージ・W・ブッシュ政権下で国土安全保障省首席補佐官を務めたスティーブ・アボット退役海軍大将のほか、ラリー・エリス退役陸軍大将、ロイド・ニュートン退役空軍大将ら軍エリート多数が名を連ねている。 続いて翌10日には、米陸軍第二歩兵団司令官を務めたラッセル・オノレ退役少将が米誌「Newsweek」にトランプ候補を糾弾する「公開状」を掲載、その中で「大統領の資格なし」として以下のように指摘した: 「わが国のために戦いわが国のために殉じた男女兵士たちに対する侮辱という点では、ドナルド・トランプ元大統領は独り舞台に立ち続けている。彼はわが退役軍人同志たちや戦死者を慰霊する機会ごとに礼を失する言動を繰り返してきた。最近のアーリントン墓地での振舞を例にとってみても、何ら驚くに当たらない。 大統領在任中、第二次世界大戦で史上最大の作戦として知られる連合軍のノルマンディ上陸作戦記念式典に大統領として各国首脳と列席した際も、戦死者慰霊墓地に出向くことを拒否するなど、米国最高司令官としての責任と自覚を欠いてきた……彼は国のために尽くすことを全く知らず、犠牲となった戦死者たちの気持ちを無視し、自らの選挙広告作成のためだけにアーリントン墓地を利用した。 私は過去37年間、国のために身をささげた一人の軍人として、今回の大統領選挙では、トランプにだけは票を投じないようすべての同志たちに要請する」