他人事じゃない「年齢差別」に胸が痛む…もっとも心揺さぶられたシーンは? ドラマ『モンスター』第8話考察レビュー
坂元愛登の心揺さぶる芝居
今回、グッと惹きつけられたのが栗本。演じたのは坂元愛登だ。 坂元はドラマ『不適切にもほどがある!』(2024、TBS系)で母・サカエ(吉田羊)と共に1986年にタイムスリップした中学生・キヨシを演じていた。そのときは明るくコミカルな役どころだったけれど、今回は静かで、全てに諦めているようにも感じられるような穏やかな役だ。 だからこそ、清美に心を開いていくさまに心を揺さぶられてしまう。セリフにはなくても、寂しかったんだろうな、誰かに心から寄り添ってほしかったんだろうな、ということが感じられる。 坂元は2024年、『ふてほど』以外に『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)、『怖い絵本 season7』(NHK)、そして本作『モンスター』、映画では『罪と悪』にも出演している注目株。今後、どのような作品に出演するのか楽しみだ。 さて、そろそろ物語は佳境。粒来(古田新太)が亮子の周りで不穏な動きを見せている。また、今回、闇バイトに何か関連しているような描写があった。なぜ急に亮子の前に姿を現したのか、何か企みがあるのか、というところが見られるかもしれない。 そして杉浦(ジェシー)は亮子に振り回されつつも、亮子のことが分かってきたらしく、「しょうがないなあ」という顔をしながらもサポートに徹するようになってきた。その「しょうがないなあ」という空気に信頼感もにじんでいるような気がして、時間の積み重ねを感じられる。だいぶバディ感が増してきたけれど、これも亮子の目論見通りなのか…。ここの関係性もまた楽しみだ。 【著者プロフィール:ふくだりょうこ】 大阪生まれ関東育ちのライター。 大学卒業後からライターとして活動、シナリオ制作やエンタメジャンルの記事を中心に執筆。 ドラマと邦画、ハイボールと小説が好き。
ふくだりょうこ