他人事じゃない「年齢差別」に胸が痛む…もっとも心揺さぶられたシーンは? ドラマ『モンスター』第8話考察レビュー
趣里主演ドラマ『モンスター』(カンテレ・フジテレビ系)が放送中。本作は、得体のしれないモンスター弁護士・神波亮子が、まるでゲームのように法廷闘争に立ち向かうリーガル・エンターテインメント。今回は、第8話のレビューをお届けする。(文・ふくだりょうこ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】趣里が「ブギウギ」コスプレ? 小ネタ満載の貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『モンスター』カット一覧
検察の作り上げたストーリーを覆せるか?
近年世間を騒がし続けている「闇バイト」。今回はそんな「闇バイト」に手を染めた高校生のトラブル…かと思いきや、亮子(趣里)がたどり着いたのは意外な真実だった。 留守宅に侵入して写真を撮るという「闇バイトごっこ」に興じていた高校生4人組。しかし、思いがけず住人の橘清美(石野真子)が帰ってきてしまい、焦った1人が清美を置物で殴ってしまう。現場から逃げるものの、強盗致傷で逮捕された。 4人のうち3人は仲間の栗本颯(坂元愛登)の指示で犯行に及んだと自供。亮子と杉浦(ジェシー)は、栗本の両親から弁護を依頼される。 検察側は、栗本が闇バイト組織の指示役「キング」との繋がりがあるという証拠を「作りたい」らしい。栗本は否認するが、他の3人は検察からの仕込みにより「今回の計画は、栗本が闇バイト組織から指示を受けた」と法廷で証言する。さらに栗本の母親までも、検察の作り上げた筋書きに乗せられて、息子が主犯だと思いこんでしまう。
根底にある「年齢差別」
意外な真実とは、栗本が、被害者である清美と知り合いだったということ。清美は、栗本が以前バイトしていたスーパーの副店長だった。しかし、当時は清美という名前ではなかった。戸籍上に13歳下の妹を捏造し、その妹に成りすまして働いていたのだ。 なぜそんなことを…という話だが、清美の本当の年齢は63歳。60歳を超えたとたん、職に就くことが難しくなってしまった。仕事がしたいのにできない、生きたいのに生きられない。そんな苦悩から犯した罪。 仕事が好きな清美は、栗本にも高校生のバイトだからと軽く見ず、真摯に向き合っていた。同世代の友だちとも深く仲良くならない、周りの人間にもどこか心を閉ざしているように見える栗本も、清美には笑顔を見せていた。 この年齢差別というものは万人に降りかかり得るものだ。就職も求人に年齢制限は書かれていないけれど、履歴書を見れば分かってしまう。 序盤には圭子(YOU)がマッチングアプリに登録しようとしたが、年齢で弾かれたというエピソードもあった。恋愛も年齢で制限を勝手に作られてしまう。 年齢なんて気にしなくていいと言うけれど、いろんなところに年齢で制限を作られてしまうのだから逃げられない。何歳になっても働きたい人は働きたいし、恋だってしたい。 年齢に関する問題はさまざまなところであって、誰しもが一度は経験することだから今回の案件は刺さる人も多かったのではないだろうか。