東京マラソン、GQエディターがサブ3.5達成!──アシックス「S4」と駆け抜けた42.195kmをリポート
苦しい終盤を支えた「S4」の推進力
前半を飛ばしてバテたあとは「S4」の出番である。 フルマラソンで4時間切るために作られたこのシューズには、前半は反発力、後半になってくると推進力、と優位性が変わる特性がある。昨年インタビューした「S4」の開発チームによると、「前半から中足で接地するランナーにはカーボンプレートとターボの組みあわせが効果的に働き、ペースが落ちてからは、プレートとアウトソールが特性を発揮する」そうで、ターゲットによって必要な機能を、必要な分だけ搭載するのが「S4」なのである。 その証拠に脚が止まってしまった35km過ぎから、つまり踵着地を意識してからは、カーボンの反発よりも、プレートの推進、つまり前に送ってくれる力が効果的に働いてくれた。ペースの落ち幅をギリギリのところでセーブ、盛り返してくれていたようだ。 それはデータからもわかる。39km以降の平均ペースを比較すると、今年は5分16秒/km、5分06秒、5分14秒、5分15秒、5分06秒、昨年は5分28秒、5分16秒、5分14秒、5分18秒、4分58秒──余力を残したはずの昨年とほぼ変わらないペースで走りきっているではないか。「S4」のプレートによる推進力が効果的に働いたようだ。最終的には、平均ペースで4分46秒/km、3時間25分18秒でゴール。目標としていたサブ3.5を達成した。 そういえば、ゴール直後、両足のふくらはぎがパンクした。もう1歩も前に進めない。つってしまった両足ふくらはぎの筋肉は目に見えるほど変形してしまった。脚を使い切った、ということなのだろう。レース終盤で感じた「止まったら終わる」という予感は正しかった。脚のエネルギーは底を尽いていたようだ。 翌朝、この原稿を書き終えた記者はデイリートレーナーである「GEL-NIMBUS 26」を履いて砧公園に向かった。「週7回/1回8km :月間走行距離250km : 1km5分0秒ペース程度」という記者の自己申告に対するアンサーとして、前述の「ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI」からのリポートにはこうあった。 「ランニング頻度・トータルのランニング量ともに十分です。しかし、20km以上の長い距離を走るランニングがやや不足しています」 そらそうよ。次の課題は見つかった。長い距離を走るトレーニングを増やす。基本的な脚力の強化だ。 文と編集・神谷 晃(GQ)