東京マラソン、GQエディターがサブ3.5達成!──アシックス「S4」と駆け抜けた42.195kmをリポート
自己ベストはまさかの3時間4分?
東京マラソンの約1カ月前、「ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI」のランニングラボで走りをチェックしてもらう機会があった。項目は①ランニングフォーム測定 、②全身持久力測定。後者は、呼吸代謝装置を用いて、ランニング中の酸素摂取量や心拍数を測定するメニューだ。フォームはもちろん、心肺機能も含めた能力を数値化することによって、記者の走りを丸裸にしようというわけである。 その際にトレーナーから指摘があったのが、股関節の稼働域を広げ、下半身の大きな筋肉を使うこと。つまり、ハムストリングスを十分に使って走ればもっとパフォーマンスが上がるはず、というものだった。これは、腿の裏表を意識するのであって、たとえば跳ぶようなフォームに変えるたりするわけではない。「S4」であれば、そんなフォームにも柔軟に対応してくれそうだ。 そして上記の測定からわかったことがある。あくまで呼吸循環系能力だけから推定できるタイム予測という前提付きだが、データ上は4分17秒/kmで3時間4分を目指せるというのだ。えええええっ! あくまで長時間ランニングに対応できる脚力が備わっていることが条件とはいえ、スペック上はそんなにも余力があるいうのか。それはそれで怖気付く。ようやく辿り着いたゴール目前で、はるか先にある次の目標設定を通知されたような気分だ。ただ今回のサブ3.5達成に限って言えば、確実なお墨付きをもらったようなものである。 さて、冒頭の苦しい35km地点に話を戻そう。万能モデルの「S4」にして、後半脚に余力がなくなった原因ははっきりと自覚している。4分30秒/kmを切った11km地点をはじめ、調子に乗って前半飛ばしてしまったのだ。想定よりも20秒/kmも早い。負けたくないという潜在的なマインドが首をもたげたのか、まわりのランナーのペースについて行ってしまった。さらに「S4」はこの気持ちに反発力で応えてくれてしまうシューズでもある。腿を意識する走りの効果もあったであろう。ますますオーバーペースになってしまった。 オーバーペースとはいえ、一方でこの前のめりな気持ちというか、抑え切れない高揚感は大切にしたかった。沿道を埋め尽くす大勢のギャラリー、見どころ、走りどころが満載の東京マラソンはやっぱりいい。生まれ育った下町、門前仲町を走り、特別な銀座の街を駆け抜けるのだから、ペースが乱れて当然ではないか。ベストを尽くすべきであって、ちょっと浮かれるくらいがちょうどいい。そんな考えもあって、後半バテてしまうのはある意味で想定の範囲内、織り込み済みだったのである。