世論を背にするイスラエル、「ハマスと心中するつもりはない」ヒズボラ――エスカレーションとジレンマの危うい構図
戦火はレバノンにも広がっている(C)IHERPHOTO//stock.adobe.com
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの間の緊張が高まり続けている。双方の交戦は2023年10月8日以来続いているが、直近のエスカレーションのレベルを引き上げたのは、イスラエルであると言える。 きっかけは、レバノンの首都ベイルートなどで9月中旬に起きた通信機器の連続爆発だ。17日、ベイルート南部などでヒズボラのメンバーが持っていたとされるポケベルが多数爆発。8歳の女の子など含めて少なくとも12人が死亡し、約3000人がケガをした。その翌18日には、トランシーバーなどの通信機器が爆発し、2日間での死者は合わせて少なくとも37人に上った。死者の多くは、ヒズボラの関係者とみられている。 ヒズボラはこの爆発について、イスラエルによる攻撃だと非難。イスラエル側は、例によって公式に声明は出していないが、イスラエルの軍事や諜報機関に詳しいロネン・バーグマン氏が連名で書いたニューヨークタイムズの記事は、匿名の政府関係者の話として、この爆発はイスラエルが仕掛けたものであると伝えている。通信機器に爆発物を仕掛けて、ターゲットを暗殺するのはイスラエルの諜報機関の常套手段だ。
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曽我太一