千枚田の取水口、豪雨で埋まる 来春田植えまでの復旧困難 県と輪島市、仮設導水路検討
奥能登豪雨により、輪島市白米(しろよね)町の国名勝「白米千枚田」の取水口が土砂と流木に埋没したことが23日、石川県や市への取材で分かった。棚田に水を引けない状態に陥り、来春の田植えまでに復旧のめどは立っていない。元日の地震を乗り越えて収穫にこぎ着けた地元団体は来年も稲作を続ける意向で、県などは仮設の導水路を敷設する応急対策を検討。二重被災にあえぐ千枚田の耕作を後押しする。 県などによると、取水口は千枚田から直線で約500メートル離れた山中にあり、野田川から延長約2キロの用水路を伝って千枚田に水を送り込んでいた。先月21日の豪雨後、現地を調べたところ、取水口が土砂と流木に埋まり、棚田へ水を送る用水路も複数箇所で損壊していたことが分かった。 取水口の復旧にはまず、土砂や流木を取り除かなくてはならないが、千枚田と取水口をつなぐ専用道路は倒木や陥没で所々寸断し、重機を入れることができない。このため、県は野田川から用水路へ水を送る仮設の導水路を整備する対策を講じる方針だ。 ●複数箇所で地滑り 千枚田は約4ヘクタールに小さな棚田が連なり、元日の地震でひび割れが生じるなど約8割が被害に遭った。耕作ボランティア団体「白米千枚田愛耕会」が少しずつ修復を進め、9月上旬に約120枚での稲刈りを終えた。 刈り取りから間もなくの豪雨で千枚田は複数箇所で地滑りが発生した。至る所で地面が深くえぐれ、土砂が散乱し、実際に水を送ってみなければ、棚田の保水機能が維持できているかどうかは分からない。代表の白尾友一さん(61)は「何とか来年も千枚田で稲作を続けたい」と話した。