〈子供の日に考える〉 子供を犯罪から守るために親が知るべき5つのこと
5日は「子どもの日」。あらためて、子どもの安全について考えてみる。どうしたら、子どもを犯罪から守り、安全を確保できるのか。具体的なポイントは何なのか。防犯や犯罪の実態に詳しい立正大学教授の小宮信夫教授に寄稿してもらった。
1 防犯ブザーを持たせても過信は禁物
子どもの犯罪被害のほとんどは、だまされたケースである。例えば、宮崎勤事件も、サカキバラ事件も、奈良女児誘拐殺害事件も、神戸女児誘拐殺害事件も、だまして連れ去ったケースだ。犯人にだまされてついていく子どもは、防犯ブザーを鳴らそうとは思わない。 突然襲われるケースでも、子どもは恐怖で体が硬直してしまい、防犯ブザーを鳴らせない可能性が高い。実際に、「怖くてブザーを鳴らせなかった」と報道されたこともある。 仮に、防犯ブザーを鳴らせたとしても、山道や農道では、警報音が周囲の大人に届かないだろう。逆に都市部では、自動車や工事の音で警報音が聞こえないかもしれない。 警報音が聞こえたとしても、ふざけているだけだと思って助けに来ないおそれもある。東京都品川区では、防犯ブザーを鳴らすと救難信号が区役所に送られるシステムを運営しているが、そのケースの99.9%は誤報だったと報道されている。これでは、助けに行く気持ちは弱まるだろう。 怖いのは、防犯ブザーを鳴らしたために、犯罪者が逆上したりパニックになったりして凶行に及ぶことだ。実際、子どもがビルの屋上から突き落とされた長崎男児誘拐殺害事件でも、抵抗された犯人がパニックになり、発作的に投げ落としたと報道されている。
2 防犯カメラがあっても犯罪は防ぎきれない。
防犯カメラを怖がるのは、犯罪が発覚したときにカメラの録画映像に基づいて簡単に逮捕されてしまうからだ。つまり、犯行が発覚するかもしれないとビクビクしている犯罪者だけが、防犯カメラを恐れているのである。 ところが、子ども相手の性犯罪者の多くは、犯行は発覚しないと信じ切っている。彼らは、相手が子どもなら最後までだまし通せると思っている。性的行為を犯すものの性犯罪だと感づかれない程度にとどめ、子どもが被害に気づく前に解放するつもりなのだ。 こうした犯罪者は、自分の顔が防犯カメラに捕らえられても、犯罪が発覚しない以上、防犯カメラの録画映像が見られることはないと安心している。 結果的には殺人に至ったので事件が発覚したが、熊本市のスーパーで起きた連れ去りは、10台の防犯カメラでも防げなかった。防犯カメラは万能であるという思い込みこそが、子どもを危険にさらすのだ。