〈子供の日に考える〉 子供を犯罪から守るために親が知るべき5つのこと
3 人通りが多くても油断は禁物
子どもを狙った犯罪者が現れるのは、子どもがいそうな場所である。とすれば、人通りの少ない道よりも、人通りの多い道の方が危険、ということになる。実際、4人の子どもを誘拐し殺害した宮崎勤も、学校周辺や団地、つまり人がたくさんいる場所に出没していた。 たとえ人通りのない道が事件現場になった場合でも、そのほとんどが、人通りのある道で犯罪が始まっている。つまり犯人は、人通りのない道で待ち伏せしていたのではなく、人通りのある道から尾行していたのだ。 もっとも、その道を大人が歩いていれば、犯罪者は子どもに近づけない。しかし、人通りはやがて途切れる。そのタイミングを犯罪者は狙っている。チャンスが訪れるまでは、善良な市民として振る舞えばいいだけのこと。人通りのある場所だけに、そこにいても周囲が違和感を覚えることもない。
4 ニアミスしやすい公園は危険
子どもを狙った犯罪者は公園が大好きだ。海外では、公園を造る場合、公園を悪用する人は必ずいるという前提で、子どもをだますことが難しくなるような工夫を凝らしている。例えば、広々とした公園でも、遊具は1カ所に集め、そこをフェンスで囲っている。つまり、公園内を子ども用のスペースと大人用のスペースに区分し、互いに入りにくい状況を作っているわけだ。こうした手法は、ゾーニングと呼ばれている。 ところが日本の公園には、利用者層別ゾーニングという発想がほとんどない。すべてのスペースがあらゆる人に開放され、遊具も集中することなく点在している。そのため、大人と子どもが入り交じって公園を利用している。そこでは、子どもの目の前に大人がいても、周囲が違和感を覚えることはない。子どもが大人と話していても、不自然に感じる第三者はいない。そこに犯罪者のつけいるスキがあるのだ。
5 子どもの景色解読力を高めよう
犯罪者は、景色を見ながら犯行を始めるかどうかを決めている。したがって子どもも、景色を見ながら警戒すべきかどうかを決めればいい。例えば、車に乗った人から声をかけられた場合、その人が連れ去り犯かどうかを考えるのではなく(人に注目するとだまされる)、車が停まっている場所の景色を見て、その人を信用していいのか、疑った方がいいのかを考えるのだ。 犯罪者が好きな景色は「入りやすく見えにくい場所」である。この「ものさし」を使って、景色を解読することが防犯の基本である。例えば、ガードレールがない道やフェンスのない公園は「入りやすい場所」であり、両側に高い塀が続く道や周囲に家の窓が見えない公園は「見えにくい場所」である。 私は、こうした景色に潜む危険性に気づく能力を、「暗号解読」にちなんで「景色解読力」と呼んでいる。親子で街を歩いたり、テレビの中の風景を見たりするときに、「入りやすい」「見えにくい」というキーワードを使って話し合うだけでも、子どもの「景色解読力」は確実に高まるに違いない。