マンションを1カ月以内、値引きなしで売却することは可能? 相場に合致した値付けがカギ!
マンション売却は平均的に、約3カ月かけて5%値引きした上で成立する。しかし、ほとんど値引きなしで1カ月以内に売却できた人もいる。一方で、1年かけた上に大幅な値引きを行わなければならなかった人もいる。短期間に希望価格で売却できた人の特徴とはーー。(住宅ジャーナリスト・山下和之) 東京都の中古マンション価格ランキング100位まで公開!
マンション売却の難易度は市場の好不調に左右される
まずは、マンションを売却する際の手順を確認しておこう。 1.不動産仲介会社などに売却価格を査定してもらう2.信頼できそうな会社を見つけて仲介を依頼する3.仲介会社と話し合い、売出価格を決めて仲介市場に出す 不動産市場が不調な時期や適正な価格ではない値付けで売り出してしまうと、なかなか買い手がつかず、市場で野ざらしになってしまうことも珍しくない。 逆に、市場が好調な時期に適正な価格で売り出せば、ほとんど値引きなしで即座に売却が決まるケースもある。 不動産データバンクの東京カンテイでは、半年に一度、中古マンションを売り出してから成約までにかかる期間、および売出価格からどれくらいの値引き率(価格乖離率)で契約が成立しているかを調査している(図表1)。 図表1 首都圏中古マンションの成約までの期間と価格乖離率 契約成立までに平均4カ月以上を要している時期がある一方、3カ月以内に成約している時期もある。 また、値引き率を意味する価格乖離率が-8%近い時期があれば、-4%台で済んでいる時期もあることが分かる。 市場が好調だった2021年下期以降は、売却期間が短期化 最近では2021年下期に、売却までかかる平均期間が2.89カ月まで縮まり、値引き率を意味する価格乖離率も-4.45%まで低下したことがある。 仲介市場が好調なときには、より短期間で、希望に近い価格で売りやすくなる。 これとは逆に、仲介市場が不調だった2013年上期は、売却までに平均すると4.40カ月かかり、値引き率も-7.92%に達していた。売却までに時間がかかる上に、値引き幅も大きくなってしまうのだ。 中古マンション市場の状態によって、売れるまでの期間や値引き率には大きな差が生じてしまう。そのため、市場動向を正確に把握し、タイミングよく市場に出すことが重要になる。 なかなか売りにくい時期と判断されるような環境であれば、売却をいったん見送って時期を待つことも英断かもしれない。 なお、買い替えの場合には売りと買いの両方を行うことになるので注意が必要だ。売りには不利な環境であっても、買いには有利な場合もある。どちらの損得が大きいのか、売り・買いをてんびんにかけて判断しなければならないため、慎重な検討をおすすめする。