伝説ボクサーフォアマンが53歳のタイソン復帰に「本物のヘビー級最強挑戦者になれる」と仰天エール!
伝説のボクサーである元WBA、WBC、IBF世界ヘビー級王者のジョージ・フォアマン(71、米国)がチャリティーマッチ出場のため現役復帰を決めたマイク・タイソン(53、米国)について「本物のトップコンテンダー(最強挑戦者)になれる」と、エキシビションマッチ出場ではなく、現役の世界王者に挑戦するファイターとしてカムバックできる可能性を示唆した。英メディアのIFL TVに語ったもの。 薬物中毒患者やホームレス支援のためにチャリティーマッチ出場を決めた53歳のタイソンが、練習を再開し、インスタにアップしたミット打ちの映像は、世界中のファンや関係者に衝撃を与えた。 トリプルコンビネーションから素早いダッキング、そして左のダブルフックという往年のオートマティックなタイソンのボクシングが見事に体現されており、その映像を見たというフォアマンは、「私はとてもハッピーになったよ」と言う。 「彼は時計の針を少なくとも20年は戻したように見えた。彼は元気そうに見えていて、それらのパンチはシャープに始めていた。もし彼が合宿に入り、約10か月間、トレーニングに専念できるのなら(公式戦に)カムバックできる。本物のトップコンテンダー(最強挑戦者)になれるかもしれない」 フォアマンは10か月間の集中トレーニングという条件付きで、エキシビションマッチどころか、本物のボクサーとして、世界再挑戦できるレベルにまで復活可能だと断言したのだ。 タイソンは2005年のケビン・マクブライト(米国)戦を最後に15年間、公式リングから遠ざかっている。だが、フォアマンの言葉が単なる社交辞令に聞こえず、説得力を持つのは、彼自身が45歳9か月で世界王者にカムバックし、48歳までトップコンテンダーとして現役を続けたという歴史を持つからだ。
フォアマンは、1968年のメキシコ五輪で金メダルを獲得し、プロ転向後、37戦無敗でWBA、WBC世界統一ヘビー級王者のジョー・フレージャーに挑戦して衝撃の2回KO勝利で王者となった。1974年には、モハメッド・アリとの「キンシャサの戦い」で敗者となったが、伝説の一戦でボクシング史にその名を刻む。28歳で引退したが、10年後に復帰。当時、14歳年下だった3団体統一王者のイベンダー・ホリフィールドに挑戦して12ラウンドの激闘を演じ、ついに1994年にWBA、IBF世界同級王者のマイケル・モーラーを10回KOで破り、20年ぶりにヘビー級王者に返り咲いた。45歳と9か月。当時の最年長王座獲得記録を作った。 その後、王座から陥落するが、1997年にWBC世界同級王者、レノックス・ルイスへの指名挑戦権をかけてシャノン・ブリッグスと12ラウンド戦うなど48歳まで現役を貫いた。晩年は、超巨漢となったが「象を倒す」と評された強打とパワーは健在だった。タイソンとはファイトスタイルは違うが、そのフォアマンが、53歳のタイソンの動きに可能性を感じたのだ。 「(正式な試合ではなく)エキシビションマッチを戦う。それが今、彼らが目指しているものだ。だが、私もそうだった。1960年代にトレーナーであるディック・サドラーに電話した。五輪で金メダルを獲得したばかりで、最初は、ただ“(公式なプロ転向ではなく)エキシビションをやりたい“とだけ言ったのだ。そこからボクシングの詳細を学び、私はヘビー級世界王者になった。エキシビションは、次第に発展していくものなのだ。(公式試合の)リングにいるタイソンを見てみたい。彼は(私の45歳戴冠の時より)年上だが、記録とは常に破られるものなのだ」 フォアマンは自らの45歳9か月でのヘビー級最年長世界奪取記録を53歳のタイソンが打ち破ることへエールを送った。 タイソンを巡っては、すでに豪州のプロモーターが1億円のファイトマネーでラグビーの元オールブラックスW杯優勝メンバーで、現役ラガーでありながらボクサーとの二刀流のソニー・ビル・ウィリアムズとのエキシビションでの異色マッチをオファー。全米で人気急騰中のベアナックル(素手ボクシング)の格闘技団体ベアナックル・ファイティング・チャンピオンシップ(BKFC)が2000万ドル(約21億2500万円)の巨額オファーで獲得に乗り出すなど、具体的な動きも出始めている。 ただ、その一方で、ボクシングの大物プロモーターであるフランク・ウォーレンが、「タイソンに本当のヘビー級で勝つチャンスはない。53歳の彼にエキシビションでなければライセンスさえ出すかどうかもわからないだろう」と、公式リングに復帰することに対して懐疑的な意見をメディアに語るなど、タイソンフィーバーを冷静に評価している見方もある。