パリ五輪男子100m予選で“日本人五輪最高記録”10秒02をマークしたサニブラウンは日本勢92年ぶりのファイナリストとなれるのか?
スタジアムは風が追ったり、向かったりしており、男子100mの予選は追い風0.6mの組があった一方で、向かい風1.1mと条件に恵まれない組もあった。タイムでの争いになると運が絡んでくる。また決勝でメダル争いを繰り広げるためにも、準決勝は着順で通過しておきたいところだ。 3組に出走する9人のなかで9秒台のベストを持つ選手はサニブラウンを含めて7人。なかでも強力なライバルとなるのが、今季世界最高の9秒77をマークしている23歳のK・トンプソン(ジャマイカ)と今季9秒78で走っているF・オマニャラ(ケニア)だ。ふたりは5レーンのサニブラウンを挟むかたちでスタートを切ることになる。 他にもオレゴン世界選手権で金メダルを獲得したF・カーリー(米国)、ブダペスト世界選手権3位のZ.ヒューズ(英国)、今季9秒86まで自己ベストを短縮した20歳のB・リチャードソン(南アフリカ)と強敵がそろっている。 3組のなかでサニブラウンの自己ベスト(9秒97)は7番目、シーズンベスト(9秒99)は5番目。タイムだけで見ると〝劣勢〟といえるかもしれない。 しかし、サニブラウンの予選タイムは全体で8番目(3組で3番目)。予選の動き、過去の実績から考えても十分に決勝進出を狙える位置にいる。しかも、「マイペース」な性格で、大舞台でも決して物怖じしない〝強さ〟を持つ。おそらく、サニブラウンは豪華メンバーと走ることへの恐怖心はなく、反対に〝ワクワク感〟を持って臨むだろう。 条件に恵まれれば日本記録(9秒95)を大きく更新するかもしれない。 高平氏は中継内で準決勝に向けて、「もう少しトップスピードを上げていく必要がある。30mから50mの間に(上体が)立ちあがっていく局面で、スムーズに加速できるのか。トップスピードが生まれるところか大事になってくると思います」とポイントを挙げた。はたしてサニブラウンはどんな走りを見せるのか。 日本勢の男子100mファイナル進出となれば、1932年ロサンゼルス大会の吉岡隆徳以来、92年ぶりの快挙となる。しかし、本人はまったく気にしていないだろう。 サニブラウンは5月の来日時にパリ五輪の戦いについて、「決勝を2大会で経験したのが大きな武器になってくると思います。準決勝から決勝までにいかに集中力を切らさないか。決勝でしっかりとパフォーマンスを発揮できるように、頑張っていかなきゃなという感じです」と話しており、準決勝は突破するのが当然だと考えている。 男子100mの準決勝は今日3日未明に行われ、その約1時間半後に決勝(午前4時50分)を迎える。この2本でサニブラウンがどんな〝伝説〟をつくるのか。 (文責・酒井政人/スポーツライター)
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