今日のヤクルト戦、先発の「山崎伊織」に必要なものとは…「浅野翔吾」の2番にはやっぱり反対【柴田勲のコラム】
今後はトーナメント的な戦いに
巨人が甲子園での阪神戦を1勝1敗、首位・広島との0.5ゲーム差を守った。 残り24試合、最大のポイントは今月、マツダスタジアムで行われる広島との直接対決6試合だ。4年ぶりの優勝がかかってくる。それまでは負けたり勝ったりではなく、勝ったり負けたりで進んでほしい。 【写真】昨年3月まで高校生だった浅野翔吾
3位の阪神はかなり厳しくなった。広島とは今季最大の5.5ゲーム差。2チームを追わなければならない。今後、トーナメント的な戦いを強いられる。 それにしても8月31日の試合、戸郷翔征で勝てると思ったのだが、6回2死一、二塁から佐藤輝明に逆転の一発を浴びた。 あそこは打った佐藤をホメるべきだろう。真ん中ではあったが、低めギリギリのコースだった。それを中堅左まで運んだ。あのパワーはたいしたものだ。 翌1日は菅野智之が悪天候をにらみながらポンポンと投げ込んでいった。ストライクを先行させて打者を追い込む。ムダな四球は出さない。 この原則通りの投球だったし、四球も0だった。打線もバント攻勢で援護し、7回を完投したところで中断から降雨コールド。6連勝、13勝目をマークした。言うことなしだ。
戸郷にあって山崎にないもの
山崎伊織に欲しいのはこの投球原則だ。責任感のせいか、「打たれたくない。抑えなきゃいけない。くさい所を突かなきゃ」、この意識が強過ぎる。 結果、球数が多くなる。フルカウントになる。4~5回を100球くらい要することになってしまう。ベンチにすればできるだけ長く投げてもらいたいが、そうはならない。3人も4人も中継ぎ投手が出る展開になる。 とにかくストライクを先行させる。打者を早めに追い込む。ムダな球を使わない。四球を出さない。こういう意識付けをしないと、何年たっても同じ投球をすることになる。 その点、戸郷はこの原則を守った投球を心がけて実践している。飛躍するためには必要だ。
やっぱり浅野の2番には反対
前回の今コラムで浅野翔吾の2番には反対だと記した。2番打者には送りバント、エンドラン、一塁走者の盗塁を助けるなど、時にいろいろなことが要求される。 8月31日の阪神戦、巨人は2回に無死一、二塁のチャンスをつかんだ。打席に立ったのは浅野、巨人ベンチはそのまま打たせて右飛に終わった。前の打席で二塁打を放っていた。期待したのだろう。 これは痛かったが、送りバントのサインが出ても送れなかったのではないか。そういうタイプではないし、器用でもない。こんな場面ではセーフティーや二塁にプッシュバントをやってみようか。こんな考えが浮かんでもおかしくないが、浅野にはまずないだろう。2軍でもやっていないと思う。 浅野は高校時代からパワフルな打撃を持ち味にしてきた。長打力の持ち主だ。それが魅力の選手だ。プロ入りしてからも打撃スタイルは同じだ。 阿部慎之助監督は「自由に伸び伸び打たせたい」という方針のようだが、それならば2 番より1番がいい。 もっとも丸佳浩が1番に定着してから巨人の調子が良くなった。阿部監督は丸の1番と岡本和真の4番だけは替えたくないはずだ。 ならば6番を打っている吉川尚輝を2番にして浅野を6番にする手もある。吉川はどんな状況にでも対応できる。 高卒プロ入り2年目で2番はどうか。浅野は「打ったら儲けものだ」と割り切って7、8番あたりで起用し続ける。速い球にも対応できるようになり、打率2割7~8分、本塁打を20本くらいの実績を残したら、将来は5、6番で使う。これが一番だと思うのだが。