ケガで3ヶ月入院することに… 高額療養費制度を利用しても、食事代だけで「10万円」以上になるって本当?
入院の日数は年々減少傾向にありますが、けがや病気によって長期間入院する場合もあります。その際、利用したいのが高額療養費制度です。高額の医療費について要件を満たせば払い戻しを受けられます。しかし、高額療養費制度の対象外となるものもあるので注意が必要です。 そこで本記事では、高額療養費制度について解説すると共に、3ヶ月の入院で食事がいくらになるのか紹介していきます。
高額療養費制度とは
高額療養費制度は高額な医療費の負担を軽減する制度です。年齢や所得状況によって自己負担限度額が決められており、その自己負担限度額を超えた部分について払い戻しを受けられます。 例えば、70歳未満で年収500万円の人が100万円の医療費を支払う場合、自己負担額は保険の適用で3割負担となり30万円です。しかし高額療養費制度を利用すると、「8万100円+(100 万円-26万7000円)×1%」で計算した8万7430円が自己負担限度額になるので、差額の21万2570円が払い戻されます。 実質的に8万7430円の負担で済むので、医療費を気にせずに治療を受けられる点が大きなメリットです。
高額療養費制度の対象外となるもの
もっとも、高額療養費制度の対象外となる費用もあります。例えば、差額ベッド代、先進医療を利用する場合の費用、食事代などです。 差額ベッド代は個室を利用するなどする場合にかかる費用で高額療養費制度の対象外となります。複数人の大部屋だと寝られない人やストレスになる人は個室を利用したいところですが、実費となるので注意が必要です。 また、がん治療をはじめとする先進医療は高額なものが多いですが高額療養費制度の対象外です。 さらに毎食の食事代も実費となります。入院が長期間に及ぶ場合は毎食食事代がかかってしまうので、入院費が高額になる恐れがあることを覚えておきましょう。
3ヶ月の入院で食事代はいくらかかる?
入院時の食事代の標準負担額は一般の場合だと1食につき460円です。難病患者や小児慢性特定疾患患者の場合は1食260円、住民税非課税世帯の場合は1食210円となっています。 一般の人が3ヶ月入院したことを考えると、1日は460円を3食分なので1380円、1ヶ月を30日とすると1月あたりの食事代は4万1400円です。そして、この金額が3ヶ月分なので、12万4200円になります。 食事代は高額療養費制度の対象外なので、すべて実費です。そのため、3ヶ月入院した場合は12万4200円が医療費と別に支払わなければいけません。前述のように70歳未満で年収500万円の人が100万円の医療費を支払う場合は高額療養費制度を利用することで8万7430円の負担で済みますが、3ヶ月間入院してしまうとさらに12万4200円支払うことになります。合計すると21万1630円の負担です。 高額療養費制度は負担を軽減してくれる制度ですが、それ以外にも自己負担が生じてしまうこともあります。そのために貯蓄や医療保険に加入することも検討してください。
早めの備えをしておきましょう
3ヶ月の入院をすると食事代だけで10万円を超える自己負担になってしまうことがわかりました。高額療養費制度の対象外になるものはそれ以外にもあるので、長期的な入院をするとさらに負担額は増えてしまいます。そのため、入院した場合を考えて早めに備えておくことが重要です。 いざという時のために、日ごろからシミュレーションしておくことをおすすめします。 出典 全国健康保険協会 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費) 厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ 全国健康保険協会 入院時食事療養費 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部