使用済み家庭用油の回収で協定 和歌山県、食用油リサイクル会社と
「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の実現に向け、和歌山県は11日、食用油リサイクル会社の植田油脂(大阪府大東市)と連携協定を締結した。県が使用済みの家庭用天ぷら油の回収拠点を設け、同社が収集してバイオディーゼル燃料をつくる。県は使用済みの食用油から持続可能な航空燃料(SAF)などを製造する仕組みの構築を目指しており、今回の事業を実証実験と位置付けている。 県は令和5年10月に、二酸化炭素削減、産業創出、資源循環社会を目指す「わかやま資源自律経済ビジョン」を策定。石油精製機能を停止した石油元売り最大手ENEOS(エネオス)の和歌山製油所(有田市)で、同社とリサイクルによるSAF製造などを推進している。SAFの原料となる廃食油を供給する仕組みの構築を目指しており、効率的な回収方法や回収量の目安を知るため、植田油脂に協力を求めた。 今回の協定では、県は和歌山市、海南市、有田市の計36カ所で回収拠点を設置し、7月1日から県民モニターの協力で使用済みの家庭用天ぷら油を集める。同社は天ぷら油回収拠点からの回収、回収用のボトルの洗浄と回収拠点への補充、使用済み天ぷら油のバイオディーゼル燃料へのリサイクルなどを行う。 県庁で行われた協定締結式で、岸本周平知事は「県はサーキュラーエコノミーを一丁目一番地に掲げている。回収事業者が県内になく、ご協力いただいたことにお礼を言いたい」とあいさつ。同社の高橋史年(ふみとし)社長は「今は少ないが、2030年には全国的に浸透するスキーム(枠組み)と確信している。素晴らしい取り組みなので、大きな成功事例となるように和歌山県が発信していってほしい」と述べた。 ◇ 和歌山県は使用済み家庭用天ぷら油の回収に協力するモニターを募集している。和歌山市26カ所、海南市6カ所、有田市4カ所の計36カ所の回収拠点で21日以降に専用ボトルを受け取り、自宅で使用済みの天ぷら油を入れ、回収拠点の専用ボックスやサービスカウンターに持ち込む。 回収期間は約2年間で、モニターの人数は3千人が目標で、すでに約400人が申し込んでいるという。回収拠点はスーパーのオークワ、松源、リサイクルセンターの紙の杜、県庁、海南市役所、有田市役所などに設置される。状況を見て拡大するという。