65歳以上の「住民税非課税世帯」は38.1%に。老後の年金収入「厚生年金・国民年金」は月額いくらなのか
厚生年金・国民年金の受給金額はいくら?
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、年金の受取金額を見ていきましょう。 ●厚生年金 厚生年金受給者の平均の受け取り金額は、男性が16万3875円、女性は10万4878円です。 年金は「1F部分」の国民年金と「2F部分」の厚生年金で構成されていますが、上記の受取金額は1Fと2Fの合計です。 女性は男性より6万円近く少ない値となっており、年金に関して男女間で格差があることがわかります。 厚生年金は収入が多く加入期間が長くなるほど受給金額が増えるため、男性のほうが多くなると考えられます。 ●国民年金 国民年金の受給金額の平均は、男性が58798円、女性は54426円です。 国民年金は厚生年金と異なり、収入の大小は受給額に直接影響しないため、男女の格差が小さくなったと考えられます。 自営業者やフリーランスの方は厚生年金がなく、会社員として勤務した経験がなければ国民年金のみの受給です。 国民年金だけでは平均で5万円ほどしか受給できないため、生活資金を別に用意しておかないと困窮することになるでしょう。 ここまで見てきた結果から、年金の受給額は必ずしも多くなく、これだけで老後生活を支えるのは難しいと感じた方が多いでしょう。 次の章では、年金生活に備える具体的な方法を解説します。
年金生活に備える主な方法は?
年金だけでは不足する生活資金について、以下のような対策方法が考えられます。 ・若いうちから貯蓄や資産形成を進める ・65歳以降も厚生年金に加入しながら働く ・退職後はパート・アルバイトをする ・年金の受給を繰り下げる それぞれの方法を解説します。 ●若いうちから貯蓄や資産形成を進める 若い世代でも、年金だけでは老後の生活が難しいことをすでに認識している方は多いでしょう。 老後まで時間があるうちに、早めに資産形成を進めることが、将来の安心につながります。 毎月の収入から一定額を先取りで貯蓄し、余ったお金で生活する習慣を身に付けましょう。 預貯金が増えたら、新NISAやiDeCoで投資にチャレンジするのもよいでしょう。 ●60歳以降も厚生年金に加入しながら働く 60歳で定年を迎えても、再雇用などで継続して働き続ける方は多く見られます。 厚生年金は、長く加入するほど受給額が増えますので、定年後も働くことは安定した老後生活を目指す上で有効な方法といえます。 ただし、一般的に再雇用になると給与が大きく減るため、家計の見直しも必須です。 ●退職後はパート・アルバイトをする 再雇用が難しい場合や、ゆっくり働きたい場合、パートやアルバイトが向いています。 人手不足でシニア世代を歓迎する職場は増えていますので、さまざまな方法で仕事を見つけられるでしょう。 老後も元気に働くには、バランスの取れた食事や定期的な運動習慣などを心掛ける必要があります。 ●年金の受給を繰り下げる 年金を増やすためには、受給の時期を繰り下げるのも1つの方法です。 受給を1ヶ月遅らせると0.7%増えるため、1年で8.4%、5年で42%増やせます。 年金額が10万円なら、5年繰り下げると14万2000円になります。 例えば65歳から74歳までは働きながら受給を繰り下げ、75歳から繰り下げで増えた年金を受け取るのもよいでしょう。 ちなみに、厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、70歳時点で国民年金の繰り下げをしている世帯の数と全体における割合は下記のとおりです。 ・平成30年度:2万8822人(1.4%) ・令和元年度:3万6588人(1.9%) ・令和2年度:3万8166人(2.2%) ・令和3年度:4万1113人(2.5%) ・令和4年度:4万2868人(2.8%) ※厚生年金保険の受給権を有するものを含む。 繰り下げをする方は全体では少数派ですが、時系列で少しずつ増えていることがわかります。