考察『光る君へ』13話 兼家(段田安則)の老いのリアルに震える、定子(高畑充希)の変顔が可愛い!未来の后ふたりが登場回
晴明は答えない
呪いが功を奏したのか否か、兼家の認知症、老いに侵略される様子が真に迫っている。 安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)を呼び出しての、かつてのように問う威厳ある態度。 ケアマネジャーさんとか、介護認定調査員さんとの面談があるときだけシャキッとしてしまうお年寄りのようだ。 しかし如何に威厳を保とうと、晴明は何も答えない。それにより自らの、政治家としての力の失墜を痛感する兼家……老耄(ろうもう)に蝕まれても、こうしたことは理解できてしまう。なんと残酷なことだろう。
詮子が定子に向ける視線
定子と一条帝の仲睦まじさ。年齢的に、まだまだ男女の仲とは言い難い。しかし確実に、定子に心を許している帝……。 詮子が定子に向ける視線が冷たい。 「そなたが来てくれて(帝は)お顔つきが明るくなられた。これからもせいぜい遊んでさしあげておくれ」 文字通り受け取るには、その口調はあまりにも固い。 定子も、それを感じ取っている。 詮子が定子にうっすらと敵意を向ける理由は……嫌悪する父・兼家の政を踏襲する長兄・道隆の娘、というそれだけだろうか。
道長だけが聞いている
道長に、自分の後継者の条件を告げる兼家。 かつての力を取り戻したかのような……まだらな認知症、時折覚醒するのもリアルだ。 「政は、家だ。家の存続だ」「その考えを引き継げる者こそ、儂の後継だと思え」 兼家からこの言葉を聞いているのは、4人の息子のなかで道長だけだ。彼こそが兼家の後継者足り得るのか、でもそれでは、まひろとの約束は、彼女の願いはどうなる……。
気づかないでいてくれ倫子
経済的に苦しいので就職活動するまひろだが、父・為時(岸谷五朗)が無位無官では厳しい。 そしてその噂が届いた土御門邸姫君サロン。よかった。まだ続いていた。しかし、倫子の結婚後は、やはり滅多に開催されなくなってしまったようだ。 茅子(渡辺早織)と、しおり(佐々木史帆)からまひろの窮状を聞いて手を差し伸べる倫子が座るのは、以前は穆子(むつこ/石野真子)がいた場所。もう倫子は土御門邸の娘ポジションではない、女主人としての座を母から継承しつつある。 倫子に手を差し伸べてもらっても、今のまひろには土御門邸に女房として勤めるなんて、とてもできない。彼と毎日顔を合わせて……というか女房であれば一つ屋根の下に暮らすことになる。無理無理無理、無理すぎる。 そして倫子から差し出された、女手蹟の漢詩!! 予告では、まひろと道長の関係がバレたのかと焦ったが、倫子は明子によるものだと勘違いしてくれた。そもそも、まひろがライバルになるとも思ってもいない。頼む、このまま気づかないでいてくれ倫子。気づかせないでくれ、道長。 それはそうと道長、あの漢詩を大切に取っておいたんですね。取っておくどころか、東三条邸から土御門邸まで持ち込んで保管していた。元カノからのプレゼントをしまっておくタイプか。修羅場の種だろう、そんなのは。 そして、あの庚申待の夜、自分と別れたその足で道長は倫子のもとに行ったのだと。自分自身は何度も歌を受け取ったが、倫子は一度も文をもらったことはないと、そんな事実を知った直後に、彼と倫子の間に生まれた彰子と初対面。どう受け止めたらいいのか、まひろと共に心が千々に乱れそうである。 その乱れた心が鎮まらぬうちに、帰宅した道長とバッタリ対面。 柄本佑の表情がすごい。 「自宅に帰ったら別れた彼女、まだ愛してる女がいたときの男の顔」は現実に見たことないが、きっとこんな顔だろうな。 次週予告。ついに巨星墜つ、兼家の最期か。暴言の主は道兼なの……?明子ノリノリで呪詛。実資に妻がいる!帝と定子、ますます仲良し。ききょうがなぜかまひろの家に来てるぞ。まひろの無料文字教室、好調のようである。 第14話が楽しみですね。 *このレビューは、ドラマの設定(掲載時点の最新話まで)をもとに記述しています。