考察『光る君へ』13話 兼家(段田安則)の老いのリアルに震える、定子(高畑充希)の変顔が可愛い!未来の后ふたりが登場回
乙丸は姫様を守る
あれから4年経ったまひろ、外出するにも貴族の女性らしく市女笠を使うようになっており、一視聴者としておばちゃんはちょっと安心してます。さわ(野村麻純)との友情は続いているので、そこも安心。しかし相変わらず暮らしは厳しい。 そして、更に厳しい暮らしをしている市井の人々…字が読めないばかりに人買いに子どもを奪われてしまう女性。字さえ読めれば、子を守れた。知識で防げる悲劇はある。 まひろの「民を一人でも二人でも救います」という決意……その一人が更に一人、いや五人、十人を救うかもしれない。そしてその先もまた。教育とは、そういうものだろう。 辻でまひろが乙丸と共に始めた芝居、タイトル「初めて自分の名前の字を知った男・をとまる」。二人の隣で、直秀と散楽一座が苦笑いしている姿が見えた気がする。 幼い子(たね/竹澤咲子)に字を教えるまひろを、笑顔で見守る乙丸。人買いの暴力から姫を守ろうとして怪我をしたり、毎週のように乙丸はどんな強い相手にも立ち向かう。 振り返れば、第1話でちやは(国仲涼子)の突然の死に居合わせたのは彼だった。あの時、奥方様を守っていればという思いが、彼にはあるのではないか。そして、姫様は必ず守ると心に決めているように見える。
実資おめでとう!
髭をたて、威厳も美しさも増した道隆の言う 「昨年、尾張国の民の上訴により、国司を変更したばかり」 これは、永延2年(988年)の尾張国解文(おわりのくにのげぶみ)と呼ばれる訴状によるものを指す。実際に、尾張国の国司の私腹を肥やす行為と、職務怠慢ほか失政を農民が訴えたものだ。 ここで明らかになる道隆の政治的スタンス。失政、圧制に苦しむ訴えも 「強く申せば通るとなれば、民はいちいち文句を言うことになりましょう」 こういう政治家は、現代でもいるのではないだろうか。道隆は美しいが酷い。 それに対して審議すべきであると、「民なくば、我々の暮らしもありません!」という道長の進言。まひろの、あなたはより良き世の中を求めて政を改めてくださいという願い通り、彼は奮闘しているのだ。 そんな道長に注目する実資(秋山竜次)、念願の公卿昇進おめでとう!! 彼も髭をたてて、平安貴族完全体へと進化している。秋山竜次は平安時代の装束がとてもよく似合う。 陣定の場で、己の父・兼家の異変を目の当たりにした3人の息子。これから自分達が得る地位のことが真っ先に頭に浮かぶ二人の兄と、父の異常な様子に心を痛める弟・道長。リア王のようだ…とは思うが、ここにいない道綱(上地雄輔)も、きっと父を純粋に心配するに違いない。