日本語覚える気ない…実習生の質も低下 外国人材制度はゆがんだビジネスから脱皮できるか
3年後にも始まる新制度は同じ業務分野で転籍が認められるため、受け入れ企業が今後、外国人材の育成に十分なコストをかけなくなる懸念もある。才峠さんは「新制度は問題が改善するように見えて、われわれ(受け入れ企業)には無理がある。より抜本的な解決策が必要だ」と語った。
■借金してでも来日 技能実習制度ビジネスのゆがみ
技能実習制度を巡って過酷な労働環境などの問題が山積する中、アジア各国から来日する実習生は後を絶たない。出入国在留管理庁によると、令和5年の実習生は約40万人で、10年前に比べて約2・5倍に増えた。背景には実習生の送り出しが現地でビジネス化している側面もある。
実習生を日本に送り出す現地機関の多くは、実習生から手数料などの報酬を得ている。厚生労働省の委託で「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」が昨年、ベトナムなど4カ国の送り出し機関に実施した調査(186機関回答)によると、実習生1人当たりの支払い額は20万超~30万円が最多(30・1%)。次いで30万超~40万円(26・9%)だった。
ただ、同庁が令和3~4年、実習生約2千人に実施した調査によると、実習生が母国で支払った費用総額の平均は約54万円。来日のために母国で借金したのは54・7%に上り、ベトナムやカンボジアでは8割以上が借金している状況だ。
現地の送り出し機関は、日本の受け入れ側である監理団体からも手数料などを得ており、日本に向かう実習生が増えるほど、手に入る報酬が増える構図だ。現地の事情に詳しい関係者は「来日して多額の給与を稼ぎたい実習生の希望につけ込む形で、現地でビジネスモデルが成立してしまっている」と指摘する。
■ビジネス色強い仕組み改めを 神戸大大学院准教授の斉藤善久氏(労働法)
技能実習制度の問題として、民間企業のビジネス的側面が強い点が挙げられる。現地の送り出し機関や国内の一部監理団体が利益を追求した結果、実習生や受け入れ企業は金銭面を中心に負担が大きくなっている。