熊本のTSMC周辺 農地転用164ヘクタールに 農地減少続く懸念
熊本県は、半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の進出が決まった2021年10月以降、同社工場のある菊陽町を含む菊池地域2市2町で、農地転用が約164ヘクタールに上ったことを明らかにした。県と関係市町は今月、影響が出ている農家などを対象に「ニーズ調査」に乗り出した。県議会では、対策として農地整備などを求める声も上がっている。 菊池地域は、同町と菊池市、合志市、大津町。転用面積は、市町の農業委員会の数字を、県がまとめた。同地域の農地面積は23年7月現在で1万1300ヘクタール。半導体企業の集積に伴い、工業用地や宅地、道路などの需要が高まっており、農地転用の拡大につながったとみられる。 同地域で代替農地として活用できる遊休農地は、これまでの調査で約100ヘクタール。一方、同社の第2工場も菊陽町で計画されるなど、新たな工場・企業の進出や開発は続いており、農地の減少は今後も続く懸念がある。 この問題は20日の県議会代表質問でも取り上げられた。新たな農地整備を求める質問に対し、県農林水産部の千田真寿部長は「具体的な相談、申請は県に届いていない」と述べた。現在実施しているニーズ調査などを基に、必要があれば農地基盤整備も検討していく考えを示し、「営農継続に向け、農家に寄り添った対策を進めたい」とした。
日本農業新聞