野村克也が語る「捕手で首位打者」
番記者に一塁手転向を勧められたことも
思い切りのいい打撃で打率上位を走る森友哉/写真=榎本郁也
西武・森友哉が(この原稿を書いている8月4日時点で)、首位打者に返り咲いている。もし、このまま森が首位打者を獲ると、私、古田敦也(元ヤクルト)、阿部慎之助(巨人)以来となるキャッチャーの首位打者が誕生する。 ポジション別でいうと、キャッチャーは首位打者の獲りづらいポジションだ。もちろん、私も現役時代はバッターなら誰もが思うように、1試合最低1本はヒットを打とうと考えて、打席に立っていた。しかし、首位打者のタイトルなど獲れるとは思わなかった。過去、キャッチャーの首位打者は一人もいなかったからだ。ましてやホームラン王まで獲ろうとは……。 なんといっても、キャッチャーは重労働。私たちの時代、日祝日にはダブルヘッダーが組まれていた。特に真夏のダブルヘッダーはこたえたものだ。しかし、それでもダブルヘッダーの1試合を休もうとは思わなかった。当時、外国人選手からはよく「ムース、休ミナイ、ホワーイ?」と言われた。「お前、そんなに毎試合出て疲れないのか」と言いたかったのだろう。MLBシンシナティ・レッズの名捕手、ジョニー・ベンチですらダブルヘッダーのときは1試合休んだのに、と驚いていた。 阪急の正捕手だった岡村浩二にはあるとき、こう聞かれた。 「ノムさん、正直に答えて。“もうここで打ってもしゃあないわ”っていう、いい加減な打席はない?」 「そりゃあ・・・
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週刊ベースボール