第95回選抜高校野球 東北3校、いざ夢舞台へ(その2止) /宮城
<センバツ高校野球> ◇仙台育英、2年ぶり 「2度目初V」目指す 仙台育英の部員ら約50人は、多賀城校舎(宮城県多賀城市)にある室内練習場に設置したスクリーンで、選考委員会による出場校発表のライブ配信を見守った。校名が読み上げられると、真剣な表情で選考理由の説明に耳を傾け、チームが目標に掲げる「2度目の初優勝」に向けて闘志を燃やした。 その後、出場決定報告会が開かれ、野球部と一緒に吉報を待っていた在校生らを前に山田脩也主将(2年)が「『夏春連覇』を達成できるよう、チーム一丸となって戦っていきたい」と力強く決意表明した。須江航監督(39)は同校の野球部員だった2001年春に準優勝したことに触れ、「22年前のセンバツ以上の成績が出せるよう、良い練習をして大会を迎えたい」と気を引き締めていた。 小川彰副校長は「皆さんが課題を見つけて真摯(しんし)に取り組む姿は私たちの誇りだ。仙台育英らしい野球を貫いてほしい」と祝福。生徒会副会長の三塚悠蓮さん(2年)も「夏の甲子園では皆さんの姿に感動や勇気をもらった。連覇に向けて生徒全員で応援しています」と激励した。吹奏楽部が校歌を演奏し、チアリーディング部の6人がパフォーマンスを披露して盛り上げた。【平家勇大】 ◇東北、12年ぶり便り 持ち味は粘り強さ 東北の選手たちは、仙台市泉区の泉キャンパス内にある室内練習場で練習。その傍らで五十嵐征彦校長(46)と佐藤洋監督(60)がライブ配信を見守り、出場が決まるとがっちりと握手した。 笑顔で集合した選手たちに、五十嵐校長は「おめでとう。甲子園で野球ができる喜びをかみしめてほしい」と語りかけた。前回出場した2011年は大会直前に東日本大震災が発生。当時監督としてチームを率いた経験から「多くの人に背中を押していただき出場できた。あの時の感謝の気持ちを、今度は皆の元気なプレーで伝えてほしい」と激励した。 昨年8月に就任した佐藤監督は「いつも『結果は後からついてくる』と話してきた。そのことが今日、また一つ学べた」と喜びに沸く選手らを祝福した。 昨秋の宮城県大会は仙台育英を破って優勝。東北大会も接戦を勝ち上がり準優勝した。右腕・ハッブス大起(2年)、左腕・秋本羚冴(2年)の両投手らを軸に、攻守に粘り強い戦いぶりが選考委員会で評価された。 佐藤響主将(2年)は「明るく粘り強いのが自分たちの持ち味。部員46人が高い意識を持って練習し、『野球を楽しむ』という僕らのプレーを甲子園で見せつけたい」と意気込んだ。【藤倉聡子】 …………………………………………………………………………………………………… ◇仙台育英 学校プロフィル 1905年に私塾として創立。全日制の生徒数は約3200人。仙台市宮城野区と、野球部の練習場「真勝園グラウンド」がある多賀城市の2校舎に分かれ、沖縄市にも4月に全日制高校を開校する。 野球部は1930年創部。甲子園出場は春が15回目、夏も29回。昨夏の優勝以外も89、2015年夏と01年春に準優勝した。昨年の「書の甲子園」(国際高校生選抜書展)で団体準優勝の書道部や、陸上、ラグビー、サッカー部なども全国の常連だ。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇東北 学校プロフィル 1894年、私塾・仙台数学院として創立。1900年に私立東北中学校として認可された。95年、男子校から共学に。現在は仙台市青葉区小松島と泉区館の両キャンパスで約1700人が学ぶ。 野球部は04年創部。甲子園は30年の全国選手権に初出場。夏は22回出場し、2003年はダルビッシュ有投手(現米大リーグ・パドレス)を擁し準優勝した。元プロゴルファーの宮里藍さんやフィギュアスケート五輪2連覇の羽生結弦さんも卒業生。