弾道の打ち分けが上手な岩井明愛のスウィングをプロが解説【勝者のスウィング】
「住友生命Vitalityレディス」で今季3勝目を飾った岩井明愛。女王である山下美夢有を相手に競り勝ったスウィングをみんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修が解説。 岩井明愛のドライバー正面連続写真はコチラ!
岩井明愛選手と山下美夢有選手の一騎打ちとなった「住友生命Vitalityレディス」の最終日は、最終ホールまで見応えのある試合となりました。前週の「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」で優勝した竹田麗央選手に1打差の2位で終えた山下選手は敗れはしたものの、3戦連続の2位で終え、改めて女王の安定感を示しました。 一方の岩井明愛選手は、「今週は勝とうと思わなくていい、気楽にいきました」と自らを追い込んで自滅した先週の最終日の教訓を早速生かし8バーディノーボギーのゴルフで優勝を手にしました。 ドローボールをベースに組み立てるプレースタイルですが、ラフからはカットに打ったりフェースターンを抑えたライン出しショットで狙うアイアンなど、飛距離を出すドライバーと距離と方向性を重視するアイアンショットの打ち分けのバランスも明愛選手のプレーの特徴です。
幅は狭くても重心移動はしっかり
ここではドライバーショットを見てみましょう。ドローヒッターらしく、ボール位置は左足かかと内側よりもやや中に入れて構えます。 テークバックでCOP(センターオブプレッシャー)と呼ばれる地面にかける圧力の中心点は移動の幅は大きくないものの、しっかりと右へ移動しています。右股関節内側に上体がかぶさるように背中をターゲットに向けると写真A右の位置でバックスウィングは終了します。
左への移動が始まる写真Bの左でトップの位置が形成されると、切り返しで最大のトルク(回転力)をかけるように下半身を使い、上半身と下半身の捻転差が作られていきます。 後方からの写真Cで確認すると、明愛選手のダウンスウィングとフォローで振り抜いて行くクラブの角度に注目してみましょう。まさにイントゥインの軌道で振っていることが見て取れますが、インサイドアウト軌道が強すぎないことで適度なドローの曲がり幅になっています。 オーソドックスなスウィングであるからこそ、様々な球種を打ち分けることができるスウィングであると言えますし、今季のすべての海外メジャーで予選通過し、強風の吹いた「全英女子オープン」でも7位という成績を残すことにつながったのではないでしょうか。 最終戦の「JLPGAツアー選手権リコー杯」の後には妹・千怜選手と共に米女子ツアーの最終予選に出場する意向を発表しましたので、残り10試合の活躍する姿に注目していきましょう。