令和7年度税制改正の平場議論スタート 防衛増税や中小企業減税が焦点、少数与党で難航も
自民・公明両党の税制調査会は25日、それぞれ総会を開き、令和7年度税制改正へ向けた議論を本格的に始めた。国民民主党が主張する「年収103万円の壁」の引き上げやガソリン減税のあり方が注目されるが、防衛力強化の増税(防衛増税)の開始時期など差し迫った課題も多い。少数与党の自公が短期間で国民民主の合意をどう取り付けるかが焦点となる。 【表でみる】控除額を178万円に引き上げた場合の年収別減税額 ■法人、所得、たばこ増税で1兆円強 「例年は12月10日過ぎに結論を得ているが(今年は)少し遅くなるのかなという気がしている」 自民の宮沢洋一税調会長は25日の総会でこう述べた。103万円の壁やガソリン減税は国民民主の主張により急浮上した項目で、7年度改正で本来想定していた課題に関する議論は遅れている。 その筆頭が防衛増税だ。政府は5年度税制改正大綱に「9年度に向けて複数年かけて段階的に実施する」と明記し、法人、所得、たばこの3税の増税で計1兆円強を確保することにしていた。 ■扶養控除も論点 しかし、6年度改正では内閣支持率の低下などを背景に増税の開始時期を決められなかった。米中対立や台湾有事の危機が深まる中、今回も結論を得られなければ日本の安全保障の強化が難しくなる恐れもある。 高校生年代(16~18歳)の子供のいる世帯向けの扶養控除の扱いも論点だ。政府は10月分の支給から児童手当の給付対象を高校生年代まで広げた代わりに、所得税と住民税の控除額を減らす方針だ。詳細な制度設計は今回行うが、国民民主は扶養控除の維持を求めており、子育て世帯の負担軽減の道筋は見えていない。 ■退職金所得控除の仕組みも見直しへ このほか、中小企業の負担軽減策として実施している法人税の特例減税措置は6年度末に期限が切れる。勤続年数が20年を超えると退職金の所得控除額が増える仕組みも、転職の増加を受けて見直す。訪日外国人観光客向けの免税品の転売を防ぐ仕組みの導入時期なども検討事項となる。 与党は税調でこれらの項目について詳細を詰め、国民民主税調との協議で合意を得て、12月中下旬にも7年度大綱を決定したい考え。ただ、103万円の壁などの最重点項目以外について国民民主がどのような態度を示すかは不透明で、与党税調の調整力が問われそうだ。(根本和哉)