「クリスマスケーキぐちゃぐちゃ」問題の背景にある“配送業者の悲鳴”「1個550円を200円で請け負うことも…」
■「あなたたちのせいでは?」という圧力 ただ、ケーキが崩れた=配送に問題があったとも言い切れない。配送前に保管されていた中間倉庫や大型トラック内の温度管理が甘かったり、そもそも製造工場での冷凍時間が不十分で“固まりかけ”の状態で出荷されていたりすることも考えられる。箱を一つひとつ開けて中を確かめるわけにもいかないため、コールドチェーンのほころびを検証するのはかなりハードルが高い。 それにもかかわらず、事故が起きた際に、配送業者が全面的に責任を押しつけられるケースもあるという。西田氏は、「あくまで一般論」とした上で、こう指摘する。 「元請けである販売元は、下請けのメーカーに対して、トラブル発生時の返品を自己負担させるなど一方的な契約を結んでいるケースも少なくない。するとメーカーが、今度は自分たちの“川下”にいる配送業者に、『あなたたちのせいでは?』と圧力をかけることも十分考えられます。ビジネス上の立場の強さを利用して責任を転嫁することは、やめてほしい」 繁忙期の現場にさらなる負担をかけ、事故が起きれば大打撃となりかねないクリスマスケーキの配送について、西田氏は「配送業界にとって難易度の高い大きな挑戦」と受け止める。だからこそ、業界団体トップとしては、「適正なサービスは適正な評価や報酬がなければ実現できない」と訴える。 西田氏が、ある会員企業に聞き取りをしたところ、「冷凍車1台を貸し切って8時間配送する場合、22000円で請け負っている」という回答があった。途中で休憩を取りつつ10分に1個のケーキを届けるとすると、扱えるケーキは40個程度。カチコチに凍った万全な状態で顧客に届けるためには、1個550円の配送料は必要だ。 だが、「配送なんてどの業者に頼んでも同じ」という安易な考えの荷主からは、できる限りの値下げを要求されることもある。その場合、保冷ボックスに入れた上で、ほかの荷物と一緒に常温車で配ることで、1個200円程度でも請け負うようにしているという。