マツキヨはまさかの「メガネ拭き」で勝負 韓国と火花散らす「日本企業」のベトナム戦略
「vs韓国企業」 すき家には驚きのメニューが
ただ、サムスンの進出をきっかけに、韓国企業の進出も目覚ましい。スマホや家電などのほか、若者を中心に「アイドル」や「焼肉店」が人気だという。昔は日本人街と言われていたレタントン通りにも、韓国人がかなり増えていた。「あと数年したら韓国人街になる」と予測するベトナム人も少なくなかった。 こうした状況で、ベトナムで展開する日本企業はどう戦っているか。日本で流行った商品をそのままベトナムで買ってもらうという姿勢は、今や通用しない。当たり前だが、ベトナム人のニーズに合ったモノやサービスがより求められるようになっている。この点は、日本企業も韓国企業に負けじと相当、力を入れている。
たとえばすき家では、フォーの麺文化を意識して、なんとラーメンメニューを展開していた。日本人からすれば違和感を抱くが、まさにローカライズ化を果たしたメニューなのだろう。無印でも、ベトナム人が好む抱き枕やバイクに乗る時に着る厚めのレインコートなどが開発され、東南アジアなどの他国でも販売されているようだ。ユニクロでも、UVカット機能がある薄手の長袖上着を前面に打ち出していた。ベトナムの環境に適しており、人気商品のようだ。
パイオニアのイオン 10年で「寿司」に起きた変化
ベトナムへのローカライズでビジネスをしてきた日本企業のパイオニアが、イオングループである。今年で10周年を迎え、長い期間をかけてベトナム市場を切り拓いてきた。後に続いた日本企業のお手本である。 ベトナム1号店である「イオンモール タンフーセラドン」も10年ぶりに訪問した。こちらは中間層を対象とした郊外店舗である。日本ではあまり見られなくなった活気ある売り場は、ライブキッチンなどエンタメ感もあり、筆者も買い物へのワクワク感をおぼえた。
10年前は、寿司は1個ずつ販売されていたように記憶している。なぜなら、1個それぞれの価格が安いからである。しかし、今は所得向上もあり、1個売りよりお得な寿司折りセット(複数セット)が売れるようになっているという変化が起きているそうだ。 イオンベトナムの古澤康之社長は、ベトナムの消費者に向けた商品開発や売り場展開を工夫していると話す。 「ベトナム向けのトップバリュを200品前後開発しています。また日本にはないカテゴリーの専門売り場を展開し、顧客に寄り添った展開をしています」 トップバリューでは、卵などの食品が定番の売れ筋商品だそう。加工食品では春雨やマカロニなどが人気のようだ。