マツキヨはまさかの「メガネ拭き」で勝負 韓国と火花散らす「日本企業」のベトナム戦略
工場で見たスゴい帽子
20年前は生産拠点としてベトナムは注目されていた。低賃金と大量生産を武器に、アパレルを中心に「お求めやすい価格」の立役者だったわけだが、今ではその姿は変化を遂げつつある。 ホーチミン郊外の帽子工場「ビナスターハット」の女性社長、ホンさんはこう言う。 「昔はベトナムの帽子製造は、1万個や3万個の比較的大量のロットで商品を作ってきた。しかし、今は500個~2,000個の価値ある帽子を作る方向性にシフトしていっています」 ホンさんの工場で製造工程を見せてもらった。手がけていたのは日本のカメラ関連グッズメーカー「MOUTH」の帽子。写真を撮る時に邪魔にならないよう、ワイヤーが入ったツバを自由自在に曲げられる商品で、日本のカメラ関係者の間では人気になっているそうだ。また、大阪万博に向け、50年前のチューリップハットの進化系なども試作していた。
街中にはファミマ、ユニクロ、無印、マツキヨ、吉野家…
現在では生産地としてだけでなく、ベトナムは一大消費地としてのポテンシャルを秘めてもいる。1億30万人、世界15番目の人口を誇る国である。しかも平均年齢は33歳と若い。 消費地としてのベトナムに注目すると、ローカルで小規模な小売や飲食店がほとんどだった10年前に比べ、今回は至るところで外国資本のチェーン店を目にしたのが新鮮だった。
コンビニではファミリーマート、ミニストップ、サークルK 、韓国資本の「GS25」が街中に出店。ホーチミンの繁華街、レタントン通り近辺にはユニクロ、無印良品、マツモトキヨシ、ホームセンターのコーナンがある。 飲食チェーンも、吉野家、すき家、CoCo壱番屋、一風堂、丸亀製麺、シャトレーゼなどがあり、サイゼリヤの出店も間近だ。日本にいるときと変わらない外食をホーチミンでも楽しむ事ができる。 昨年、ベトナムでは不動産バブルが崩壊し、経済が停滞したものの、それでもアジアではトップクラスの経済発展の真っ只中にある。消費意欲の高まりに合わせ、日本企業の進出は今後も加速しそうである。