長野・松本の大自然が舞台! 主演・杉野遥亮『マウンテンドクター』の見どころをカンテレ・近藤Pに聞いた
杉野遥亮主演の山岳医療をテーマにしたドラマ『マウンテンドクター』(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜22時)が2024年7月8日から放送されている。 舞台は北アルプスの山々に囲まれた長野県松本市で、実際にロケも行われた。なぜ松本を舞台に選んだのか、ドラマの見どころと合わせて近藤匡プロデューサーに聞いた。
松本は「360度山」
――『マウンテンドクター』は山岳医療にスポットを当てた完全オリジナル作品ですが、なぜ松本を舞台にこのテーマを描かれたのでしょうか。 近藤P:長野県松本市は僕の地元で、以前から地元ならではのものを題材にドラマを撮りたいと思っていました。本作は何年か前に今回の演出の国本監督と脚本家の高橋裕也さんが企画案として弊社に出していたと聞いています。その後、僕が制作部に配属されて企画書を書くために情報収集をする中で、その企画案を見つけました。医療モノは初めてでしたが、これは長野で実現できるかもと思いました。22年の夏にはプロットを作り始めていました。 ――地元で撮りたいという思いが、制作部に入る前からずっとあったのですね。実際にロケをしてみてどうでしたか。 近藤P:その土地ならではの画(え)になるな、というのはとても感じています。松本は景色が360度「山」なんですよ。例えば松本市役所の屋上を撮影場所として使わせて頂いていますが、そこから見るとよくわかります。ほかにも病院やホテル、観光地でおなじみのなわて通りなど、そこで撮影している意味が映像でも出せていると思っています。
ロケでは5時間かけて登ることも
――山岳医療というテーマはかなり専門性が高いイメージがありますが、撮影にあたってどのような準備をされましたか。 近藤P:山岳医の先生や救助隊の人にお話を聞かせていただきました。こちらの想像とは違う部分もあって、例えば通常はお医者さんが病院にいて僕らが行って診てもらうかと思いますが、山岳医は現地に行って診ることで救命率が上がると漠然と思っていました。ヨーロッパではその方式をとっているところもあるようですが、日本ではやっていません。 山岳医の先生方とはこの件で大きな議論になりました。やっていないことや美化しすぎた物語は先生方も協力できないし、僕も本望ではありません。日本の山岳医療制度の成り立ちや、今どんな状況になっているのかを聞きました。山に行けた方がいいと思っている先生も中にはいらっしゃいますが、日本は山の標高が低いことや2次災害を起こしてしまう可能性など様々な理由から今の現状になっていることを知りました。 ――山に行く・行かないというのは物語でもキーになってくるのですね。 近藤P:ドラマでは場合によっては山に行った方が命を救えるかもしれないと思う宮本歩(杉野遥亮)と行く必要がないという江森岳人(大森南朋)の二人の医者が対立しています。この対立軸で進めていくので、山小屋で治療するときもあれば。病院で治療するときもあります。 単純にヒロイズムで、人を救ってめでたしという話にはできないなと思っていて。山に行かない理由も行く理由もちゃんとドラマの中で描けたら、協力してくださった先生たちもこのドラマの相談にのってくださった意味があると感じてくださるのかなと思います。