7つの惑星が見つかっているTRAPPIST-1惑星系で地球外文明の信号探査
アメリカのSETI研究所は2024年10月16日付で、7つの太陽系外惑星が見つかっている恒星「TRAPPIST-1(トラピスト1)」の惑星系を対象に実施された地球外知的生命体(ETI)の電波信号探査に関する研究成果を紹介しています。 今日の宇宙画像 今回の探査では地球外文明に由来する人工的な電波信号は検出されませんでしたが、今後も探査技術の改善や他の惑星系を対象とした探査が続けられるということです。
TRAPPIST-1とは
TRAPPIST-1は「みずがめ座(水瓶座)」の方向約40光年先にある赤色矮星で、これまでに地球に近いサイズの太陽系外惑星が7つ発見されています。 そのうち内側から数えて4番目~6番目の「TRAPPIST-1 e」「TRAPPIST-1 f」「TRAPPIST-1 g」はTRAPPIST-1のハビタブルゾーン(※大気を持つ惑星の表面に液体の水が存在し得る、恒星から一定の範囲にある領域)を公転しているとみられており、地球外生命探査の観点からも注目されています。
電波干渉計でTRAPPIST-1惑星系を合計28時間観測
今回、ペンシルベニア州立大学の大学院生Nick Tusayさんを筆頭とする研究チームは、カリフォルニア州にあるハットクリーク天文台の電波干渉計「アレン・テレスコープ・アレイ(Allen Telescope Array: ATA)」を使用してTRAPPIST-1惑星系を観測しました。ターゲットの周波数帯域は0.9~9.3GHzで、観測期間は2022年10月~11月。1回40分~240分の観測が8回、合計28時間にわたって実施されています。 研究チームが着目したのは「Planet-Planet Occultation(PPO)」と呼ばれる、ある惑星が別の惑星を隠す(掩蔽する)現象が起こるタイミングです。地球はTRAPPIST-1惑星系を“横”から見る位置関係にあり、TRAPPIST-1を公転する太陽系外惑星同士のPPOを観測することができます。PPOが起こる時はTRAPPIST-1の惑星2つと地球が一直線状に並ぶので、もしもTRAPPIST-1で惑星間の無線通信が行われていた場合、漏れた信号を地球の電波望遠鏡で検出できる可能性がある、というわけです。