【有馬記念】距離延長で前進見込めるプログノーシスを推奨 押さえておきたいベラジオオペラとレガレイラ
基本的には外枠不利、逃げ馬も不利
有馬記念は過去20年まで遡っても馬番14~16番は【0-3-4-46】で勝率0.0%。舞台である中山芝2500mはスタートから最初の4角までの距離が約192mしかないこと、外を回ると内に入れるのが難しくなり、終始外々を回ることになりやすい点などが、外枠不利の理由として挙げられる。 【有馬記念2024 推奨馬】名実ともに日本最強馬! 中山コースは複勝率100%(SPAIA) 追い込み馬なら、2020年に14番枠から2着に入ったサラキアのように、位置を下げて内目を立ち回り、4角で外に誘導する形を取れるが、先団~中団につける馬はロスの大きい競馬となり、敗れることが多い。 昨年、大外16番枠から2着に好走して注目を集めたスターズオンアースの場合は、好スタートを決めて4角では2番手を追走し、しっかり内に入れていた。つまり、14~16番は出していくか、下げるかしないと苦しい。 また、過去10年の逃げ馬の成績は【1-0-2-7】で、好走馬は2015年3着、2017年1着のキタサンブラックと2023年3着タイトルホルダー。キタサンブラックが3着以内だった2回はどちらもかなりのスローペースだった。 今年は逃げ馬不在で、先行馬も手薄。かなりのスローペースが予想されるだけに、馬によっては逃げてもチャンスがあるとみている。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 プログノーシス】 昨年の札幌記念にて、今回のメンバーでNo.1の指数を記録した。同レースでは13番枠から五分のスタートを切り、序盤は無理せず後方付近からの追走。1角で内に入れ、そのまま位置を上げると、3~4角では内から外目へと誘導しながら2番手まで押し上げて直線へ。 直線序盤で最内から先頭に立ったトップナイフに並びかけ、ラスト1Fでは抜け出して同馬に4馬身差、3着ソーヴァリアントに7馬身差をつけて完勝した。 この時はタフな馬場かつ、逃げ馬が多数出走したことからオーバーペースになり、序盤に先行した馬たちが潰れる展開になった。また、この週はA→Cコース替わり。最後の直線で外を通った馬が好走していた。プログノーシスは追い込み有利の展開に恵まれたことに加え、完璧なコース取りで自己最高指数を記録したことになる。 未だにGⅠを勝っていないが、ハイペースとなった今春のクイーンエリザベス2世Cでも、出遅れて最後方から向正面で好位の外まで押し上げ、ロマンチックウォリアーとクビ差の2着に善戦している。このことから、差し、追い込み有利の展開になればGⅠ獲りに手が届く存在とみていい。 今回は逃げ馬不在、先行馬手薄のメンバー構成。本馬は前走のコックスプレートで五分のスタートから2番手を先行した。近走は絶望的な出遅れもなくなっており、中団くらいの位置で進められるだろう。 前走は緩みない流れのなか、積極的に前に行き過ぎたことで追走が忙しくなり、しまいの甘さを見せてしまったが、芝2500mなら息を入れながら追走できる。高速馬場の芝2000mで忙しさを見せていたことからも距離を延ばしたほうがいいと感じていた。今回、本命に推す。 【能力値2位 アーバンシック】 クラシック三冠レースすべてに出走し、前走の菊花賞で最後の一冠を手中に収めた3歳馬。前走は13番枠からやや出遅れ、後方からの追走。スタンド前で徐々に中団中目まで上がり、向正面でも中団外目から進出して好位の直後で仕掛けを待った。3~4角で2列目の外まで押し上げ、直線序盤ではアドマイヤテラの外に出し、堂々の先頭。ラスト1Fでさらに差を広げて2馬身半差で完勝した。 本馬の鞍上はリーディングトップのC.ルメール騎手。本馬自身も2走前のセントライト記念から連勝中と、ここへ来て地力をつけているのは明確だ。前走の3000m戦で後方からレースをした後になるので、流れに乗れるかかが鍵になるが、3歳馬は斤量の優位性や勢いがある。対抗に推したい。 【能力値3位 スターズオンアース】 昨年の有馬記念では、大外16番枠から好スタートを決め、押されてしっかりと前へ出ていった。内からタイトルホルダーがハナを主張すると、その2番手を追走し、スタンド前では少し息を入れる形。2角過ぎで前と6馬身ほどの距離を取り、向正面でも少し息を入れて後続の仕掛けを待った。 4角で外からドウデュースが上がってくると、仕掛けて最短距離からタイトルホルダーとの差を3馬身差まで詰めて直線へ。ラスト1Fで前のタイトルホルダーを捉えてドウデュースに食らいついたが、同馬に半馬身前に出られて2着となった。 C.ルメール騎手が上手く乗った面もあるが、ジャパンCで3着に入った後に有馬記念でも好走できるのは地力があればこそだ。 しかし、その後は着外が続いている。前走ジャパンC時のコラムで、「有馬記念では気合が乗ってこない本馬に対して、鞍上が過剰なほど返し馬を行なっていたことから、無理をさせてしまったのでないか。もし、そうならこの後、不振になる」と書いたが危惧したとおりになり、ジャパンCは7着完敗。 この中間の動きも物足りなく、騎乗していた川田将雅騎手が「何もコメントしたくない」と口にしたほど。競走馬は状態が整わないタイミングで無理に走らせるとスランプになると考えている。 それでも、もともと強い馬は何かのキッカケで巻き返すことが多いもの。逃げ、先行馬が手薄のここで、昨年のこのレース同様、前で上手く流れに乗れれば復活があっていい。 【能力値4位 ジャスティンパレス】 昨年の天皇賞(春)で悲願のGⅠ制覇を達成。このレースはタイトルホルダーが逃げて主導権を握り、前半~中盤は速かったが2周目の3角手前で同馬が故障し、下がったことで大きくペースが緩んだ。 本馬は1番枠から五分のスタートを切り、積極的に促したが2番枠のディープモンスターの方が速かったこともあり、控えて中団やや前目を追走。1~2角でディープボンドの後ろについて、同馬をマークしながら進めた。 3角手前で一気にペースダウンするとディープボンドを追いかけ、楽な手応えで進出し、4角で同馬の外に出すと直線序盤では先頭に。ラスト1Fでディープボンドとの差を広げて2馬身半差で完勝した。このレースは3角手前からジョッキーが上手く押し上げたことが功を奏しての優勝で、自己最高指数を記録した。 その後は中距離路線に矛先を向け、昨年の天皇賞(秋)では2着に善戦するなど、中距離戦でも上位争いを繰り広げた。ただ、ゲートやテンに甘さがあり、徐々にエンジンをかけていくタイプであることから、ベストはあくまでも長距離だろう。 今年の天皇賞(秋)は出遅れて後方からになるも、ラスト1Fでしぶとく伸びて4着。続く、前走ジャパンCは好スタートを決めて中団の内目からの競馬になったが5着だった。 今回は芝2500mが舞台。昨年の有馬記念は10番枠から出遅れ、最後方の競馬だったことに加え、4角で大外をぶん回すロスがありながらドウデュースと約1馬身半差の4着に善戦。そのことからも近2走以上の結果を出せるはず。位置を取れない馬なので勝ち負けは難しいとみているが、2、3着ならありそうだ。 【能力値5位 シャフリヤール】 超高速馬場で行われた2021年の日本ダービー優勝馬。その一方で、時計の掛かる馬場だった2022年のドバイシーマクラシックも制している。 前走のBCターフは3着。ここでは3番枠から五分のスタートを切り、そこから押して中団内目を追走。向正面では中目に誘導し、前のスペースを詰めていった。 3角ではスペースを詰めきったが外が空かず、ブレーキをかけて我慢を強いられる。3~4角で外からローシャムパークがマクったことで蓋をされ、4角で仕掛けるがそこでも進路がない状態。結局、後方から直線に入った。直線序盤でローシャムパークの外に誘導して同馬に食らいついたが、差は詰まらず3着だった。 向正面からの流れを見るに、スムーズさを欠く競馬だった。ローシャムパークとは仕掛けどころの差があっただけで、この一戦でローシャムパークの方が上という評価にはならない。 本馬はドバイや米国の競馬場のように、ある程度、時計が掛かる馬場がベスト。これまでも海外のGⅠレースを大目標とし、そこで結果を出してきたことは確かだ。ただ、前走である程度、能力を出しきっており、お釣りが少ない。しかも大外16番枠と最悪な馬番を引いてしまった。大外枠になったことで陣営はハナ宣言をしているが、今まで逃げたことがない馬が、大舞台で逃げていきなり結果を出せるほど甘くもない。さすがに苦しいとみる。