DeNAスカウトが高評価!聖カタリナ学園の190センチ右腕、”公式戦初登板”でシード校撃破!136球熱投にも「疲れているようには見えなかった」
<第106回全国高等学校野球選手権愛媛大会:聖カタリナ学園2×-1今治西>20日◇2回戦◇坊っちゃんスタジアム(愛媛県松山市) 【トーナメント表】愛媛大会 20日までの結果一覧 23年ぶりの甲子園帰還を目指す第1シード・松山商と共に、優勝候補筆頭の下馬評が高かった第2シードの今治西が、大会初戦にして1対2のサヨナラ負けで散る波乱が生じた。 波乱の主となったのは、昨年、河内 康介投手(現オリックス)をエースに押し立て準決勝まで進んだ聖カタリナ学園である。 見事だったのは、四国内でも屈指の経験値と実力を有する今治西の最速139キロ左腕・渡地 琥太郎投手(3年)に対する攻略策の徹底ぶり。5回まではわずか2安打と苦しんだものの、最終的には8安打を浴びせ、9回裏一死満塁で途中出場の1番・本多 叶芽外野手(3年)がサヨナラ打。優勝候補をうっちゃってみせた。 「ストレートに絞って引っ張りに行こうとして、スライダーを反応で打てた」(本多) さらに大きなサプライズだったのが、この試合が公式戦初登板初先発となった有馬 恵叶(3年)のピッチングだ。 今大会前、『高校野球ドットコム』にて「隠し玉」として紹介したように、四国地区のNPB球団スカウト陣の間では知る人ぞ知る存在だった有馬。この日は9回136球を投げ、5安打4奪三振、中軸を警戒したため四死球は7つ与えたが、失点は4回表二死一・三塁から白石 翔太内野手(3年)に喫した適時打のみ。まさにエースナンバーに相応しい内容と結果でチームを勝利に導いた。 特に秀逸だったのは190センチの長身を活かした縦の変化球である。初回に先頭打者、宇和島ボーイズの同期でもある今治西の主将・長田 雄大外野手(3年)を123キロのフォークで空振り三振に取ると「この三振で使える自信が付いた」と、フォーク、130キロ中盤のスプリット、NPB球団スカウトのスピードガンで自己最速を更新する141キロのストレートを効果的に投げ込んだ。 「高低を意識したリードを心掛けた」と香川 清孝捕手(3年)も話すように、4併殺を奪ったバックの手助けも得て強打・今治西打線の目線を惑わすことに成功した。 「150球をブルペンで投げ込んできて、スタミナには自信もあった」との言葉通り、有馬の球威は回を追っても衰えず。6回以降は1本の安打も許さなかった。 この投球には視察に訪れていたNPBスカウト陣の中からも感嘆の声が挙がった。練習から有馬の様子を観察している横浜DeNAベイスターズの藤田 和男・中四国地区担当スカウトは、この日の有馬についてこんなコメントを残した。 「精神的なものや、向かっていく気持ちが出ていましたね。技術的にもフルカウントからフォークを投げ切れていますし、球速も7回表・8回表に141キロが出ていて球威も落ちなかったし、双眼鏡で表情を見ても疲れているようには見えなかった。今日で試合の中でできることは解りました」 有馬は、「今日が人生の岐路に立つ試合。努力したことを思いきり出してこい。責任は俺が取るから」と力強く送り出した浮田 宏行監督の期待に見事応えた。すでに高卒プロ入り一本に志望を固めている大型素材型右腕は、仲間たちと共に聖カタリナ学園と自らの評価を大きく上に押し上げようとしている。