【医師が解説!50代の大腸がんQ&A】大腸ポリープは切除する?がん化する確率は?進行と治療法は?
女性のがんの死亡数第1位である大腸がん。大腸にできるポリープの種類やがん化する確率、また、大腸のどこにできてどう進行するのか、治療法やストーマ(人工肛門)まで、Q&A形式で解説。消化器専門医の千野晶子さんにわかりやすく教えてもらった。
Q. 大腸ポリープって何ですか?いずれがんになるものですか?
A. 5㎜を超えたポリープは発見したその場で切除します 大腸ポリープは、大腸の壁の粘膜層にできたものの総称。いくつか種類がある。大腸壁の粘膜にできたポリープは、徐々に大きくなっていく。なかでも、「腺腫性ポリープ」と「鋸歯状(きょしじょう)腺腫性ポリープ」は、増大したりがん化したりする可能性がある。 《大腸にできるポリープの種類はいろいろ》 ・腺腫性ポリープ ・鋸歯状腺腫性ポリープ ・過形成性ポリープ ・炎症性ポリープ ・過誤腫性ポリープ 「腺腫性ポリープ」と「鋸歯状腺腫性ポリープ」は、増大したり、がん化したりする可能性があるものを腫瘍性ポリープとして治療(切除)する。それ以外は経過をみることもある。切除の目安は、腺腫性ポリープが5㎜以上、鋸歯状腺腫性ポリープなら10~20㎜以上だ。これらは良性のポリープだが、下図のように、大きくなるとがん化するリスクが高まる。
●良性のポリープががん化するリスク どのポリープががん化していくかは、大腸内視鏡検査で見てもわからないので、5㎜を超えたポリープがあれば、検査時にその場で切除したり、後日切除をすすめられたりする。
Q. 大腸がんはどこに、どうできて、どう進行する?
A. 粘膜内にとどまっていれば早期。この段階で見つけたい 大腸の粘膜から発生したがんは、進行するとともに、大腸壁の粘膜層、さらに筋層と、深部に進展していく。一般的には粘膜や粘膜下層にとどまるがんを「早期大腸がん」、それより深い筋層に達していると「進行大腸がん」という。腫瘍が粘膜下層より深く広がっている場合は、リンパ管や血管を介してリンパ節や大腸以外の離れた臓器(肝臓、肺、腹膜など)に転移することがある。 大腸がんの広がり、進行度はステージ(病期)で表される。下は大腸がんのステージを簡潔にまとめたもの。ステージは壁深達度(へきしんたつど)(T因子)、リンパ節転移(N因子)、遠隔転移(M因子)の3つの因子を組み合わせて決定される。壁深達度は内視鏡検査やCT、MRI検査で判定され、リンパ節転移や遠隔転移はCT、MRI、超音波検査、PET検査で判定される。大腸でがんができやすい部位は、直腸が29%と最も多く、次にS状結腸26%と続く。