喜望峰を経由する外航船、悪天候で運航の遅延が拡大。コンテナ44本が海に流出も
南アフリカでの悪天候により、喜望峰経由の航海で遅延が拡大しているようだ。周辺では10メートル以上の高波が発生するなど、航海条件が悪化。8日から11日まで、喜望峰を通過するコンテナ船はほぼなかった模様。また、喜望峰に近いケープタウン近郊を航行していた仏CMA―CGMの運航船は高波に見舞われ、コンテナ44本が流出したという。ただ、船社関係者によると、12日には航行を再開する動きも出ており、影響は長期化しないとみられる。 昨年11月からのイスラエル・ガザ情勢緊迫化によりコンテナ船社を中心にスエズ運河航行回避の動きが広がり、アジア―欧州航路では喜望峰経由の航海が定着している。その代替ルートが短期間とはいえ停止したことで遅延が拡大するほか、シンガポールなどハブ港への寄港が重なるため、再度混雑が悪化する可能性もある。 海外報道によると、ロンドン証券取引所グループのアナリストは悪天候の要因として、7日に同地域を強いサイクロンが襲ったことを挙げているという。 マースクは8日の顧客向け情報で「今後数日間、(南ア西部)ケープタウンと(同中南部)ポートエリザベスの間で、強風、高波などの異常気象が予想される。これにより船舶の移動と運航に影響が及ぶ」と通知。進路変更や、遅延が発生することを説明した。 米デジタルフォワーダー、フレックスポート創業者のライアン・ピーターセン氏は11日、今回の悪天候で「アフリカ周辺を航行する船舶約600隻が影響を受けている」とコメントしている。 CMA―CGMはアジアから欧州に向けて航海中だった運航船「CMA CGM BENJAMIN FRANKLIN」(1万8000TEU型)が9日、予想外の悪天候に見舞われ、コンテナ44本が海上に流出し、さらに船上のコンテナ30本がダメージを受けたことを明らかにした。流出貨物に危険品は含まれていないという。 コンテナ船以外の船種でも、悪天候による影響が発生している。 南アフリカ海上保安庁(SAMSA)によると、スペインからタンザニアに向かって航海していた多目的船「ULTRA GALAXY」(1万3800重量トン)が8日、悪天候によりケープタウン北西部で航行不能となった。当日中に乗組員全員が救出されたが、同船は12日時点で傾いて漂流した状態が続いている。 邦船社のケープサイズバルカー担当者は「(8日の週の)週半ばから、喜望峰経由の航路で悪天候を回避するため、数日間の停船を強いられた」と語る。喜望峰周辺は、ブラジル積み―極東揚げ鉄鉱石、西アフリカ積み―中国揚げボーキサイトなどの基幹輸送ルートとなっており、停船による一定の市況引き締め効果が見込まれる。
日本海事新聞社