高校サッカー注目の次世代ヒーロー候補5人
年末年始を彩る風物詩のひとつ、第95回全国高校サッカー選手権大会が30日から首都圏を舞台に開催される。15年ぶりの大会連覇を狙う東福岡(福岡県)、インターハイに続く史上5度目の夏冬二冠に挑む市立船橋(千葉県)を筆頭に、1月9日の決勝戦(埼玉スタジアム)での歓喜のシーンを目指して熱き戦いに臨む48校の選手たちから、5人の次世代ヒーロー候補をピックアップする。 ■藤川虎太朗 [MF/福岡・東福岡3年/173cm、60kg] 17年ぶりに全国の頂点に立った前回大会でも暴れ回った元気印・藤川虎太朗が最上級生となり、エースの証となる「10」番を背負って帰ってくる。 福岡県で生まれ育った藤川はプロを夢見て、中学進学と同時に隣県のサガン鳥栖U‐15へ入団。順調に成長を遂げるも、内定していたU‐18への昇格をあえて断って名門・東福岡の門を叩いた。 Jクラブのユースでプレーしたほうが、憧れのJリーガーになる近道に見える。しかし、15歳だった藤川は自身に足りないものは「華麗さ」ではなく「強さ」だったと振り返る。 「自分をもうひと回り強くするために東福岡へ来た。ユースは華麗なサッカーという印象が強く、高校サッカーは球際の攻防を含めて、泥臭いという思いで見ていた。自分としてはもっと泥臭くプレーしたほうがいいと思っていたので」 切れ味鋭いドリブルと左右両足から放たれる精度の高いシュート、そして味方を巧みに操るパス。司令塔に必要な能力を追い求めた「強さ」で増幅させた藤川は、2年生で出場したインターハイで得点王を獲得。ジュビロ磐田への入団を内定させて、2001年度の国見(長崎県)以来となる大会連覇がかかる最後の選手権に臨む。 ■杉岡大暉 [DF/千葉・市立船橋3年/180cm、74kg] 大会ナンバーワンのセンターバックの呼び声が高い杉岡大暉が、堅守を伝統とする市立船橋の最終ラインの中心に君臨して、昨年度の東福岡に続く史上5度目の夏冬制覇に挑む。 中学年代はFC東京U‐15深川でプレーしたが、前出の藤川とは異なり、U‐18への昇格はかなわなかった。心機一転、「もっと成長したい」という思いを抱いて、千葉県の名門・市立船橋へ進んだ。 入学後はそれまでのボランチから、朝岡隆蔵監督の発案でセンターバックへと転向。対人や空中戦における強さと並ぶコンバートの理由が、利き足の左足から放たれるフィードの正確さだった。 左利きのセンターバックは、日本サッカー界でも希少価値となる。将来を見越したコンバートでもあったのか。数クラブによる争奪戦の末に湘南ベルマーレへの入団を内定させたいま、中学時代はそれほど気に留めなかった左足を、杉岡は「自分の武器」とまで言い切る。 前回大会はPK戦の末に、3回戦で東福岡に屈した。相手の強力攻撃陣を零封したものの、5番手で蹴ったPKを外したのは杉岡だった。「選手権の借りは選手権でしか返せない」と、インターハイ王者の肩書とともに雪辱を誓う。