手作りロボットの「足踏み」公開 大阪のものづくりまつりで
手作りロボットの「足踏み」公開 大阪のものづくりまつりで 撮影:岡村雅之
大阪市西淀川区でこのほど開かれた「西淀川ものづくりまつり」に巨大ロボットが登場し、大きく腕を振り回したり、片足を上げて足踏みをすると、周囲から歓声があがった。西淀川区のものづくり力を発信する子ども広報部員「ものづくりレンジャー」たちも、動画や会社パンフレットを作ってプレゼン大会に臨んだ。 【拡大写真付きと動画】大阪のガンダム世代ロボット研究者 世界最大級2足歩行ロボット公開
重心を移し片足を上げて足踏み
このロボットの名は「はじめ43号」。 高さは4メートル、重さ300キロと大きいサイズだ。ものづくりまつりには昨年に続いて登場。昨年は会場の天井が低かったため、腕や指を動かすデモンストレーションのみだったが、今年は両手を同時に振り回す上半身の動きの他に、下半身をダイナミックに動かす足踏みを一般公開した。 膝を曲げて重心を左右に移し、片足を完全に地面から上げてから下ろすと、足踏みが成立。4メートルの巨体が左右に傾く様子に、巨大ロボットのリアル感が漂う。この日は安全確保のため、ボディがクレーンで固定されていたが、左右の足の足踏みに前進する動きを加えると、のっしのっしと歩くことができるという。 このロボットはメイド・イン・西淀川。ロボット研究者坂本元(はじめ)さんを中心に、地元の異業種交流会NKKに結集する中小企業経営者らがプロジェクトチームを結成して開発に成功した。
ガンダムに憧れ次の目標は8メートルロボット
アニメヒーロー「ガンダム」との出合いが、坂本さんの人生を決めた。「中学生時代にガンダムにあこがれ、いつかはガンダムのようなロボットに乗り込んで操縦してみたい。夢に向かって巨大ロボット作りに挑戦してきました」(坂本さん) 50センチ、1メートル、2メートル。ロボットのサイズを倍々方式で大きくし、4メートルまでこぎつけた。ガンダム形式で、坂本さんがコックピットに乗り込んで操縦できる。大きな課題は軽量化だった。 「軽量化はひとつの技術分野だけでは達成できない。機械加工、板金、樹脂など、さまざまな専門家の技術や知恵が融合して実現しました」(坂本さん) 製作したロボットを販売して次のロボットの開発資金を調達してきた。はじめ43号の販売価格は5000万円。次の開発目標は8メートルロボットだ。勝算はどの程度あるのだろうか。 坂本さんは「開発のハードルはさらに高くなるが、2足歩行やコックピット搭乗など、ロボットの大型化に欠かせない技術ノウハウは、4メートルロボットの開発を通じておおむね培うことができた」と分析。「資金が確保できれば、今すぐにでも取り掛かりたい」と、闘志を燃やす。 ガンダムの高さは18メートルとされているが、いまだ道半ば。坂本さんにコックピットに乗っている感想を聞くと、少し考えた末「ガンダムにのっている感じですかね」と楽しそうに笑った。 はじめ43号の雄姿を見た小学5年男子は「僕もロボット教室に通っています。こんなに大きいロボットを動かすなんてほんとにすごい。ロボットはけがをした人を助けることができるので、大切だと思います」と話していた。