自動車警ら隊発足 「移動警察」の幕掲げ試験運用 警視庁150年 31/150
パトカーで巡回し、不審人物への職務質問などにより重要犯罪を未然に防ぐ自動車警ら隊。略して「自ら隊」と呼ばれるこの部隊は、戦後の混乱期に犯罪が急増したことを受けて、無線で連絡を取りながら機動力を生かして治安を守るべく設立された。 昭和24年1月、警視庁は浅草署管内で、車によるパトロールを試験的に行った。『警視庁史 昭和中編 上』によると、車の両側には「移動警察」と書いた幕を掲げ、2人の警察官が乗車。わずか15日間の実施期間だったが、管内で1日平均二十数件発生していた空き巣や傷害などの犯罪が1、2件に激減した。車を目にした不良集団らが捕まることを恐れ、なりをひそめた結果とみられるという。 自動車を使ったパトロールは欧米でも古くから取り入れられており、試験実施で高い効果を上げたことや、連合国軍総司令部(GHQ)の意向もあり本格実施への準備は急速に進行。25年6月、車両3台、54人態勢で正式に発足した。 当初はGHQから貸与された無線機を取り付けたという車も改良が重ねられ、現在のパトカーの形となって街を走る。自ら隊の歴史は70年を超え、隊員らは応援要請を受けて現場に急行したり高い職務質問能力で犯罪を防いだりして、人々の安全を守っている。(橋本愛)